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第一章・3

「これから、新歓稽古を始める。α、β、Ωの順に、2列に並べ!」  殴られてはたまらないので、1年生は黙って素早く行動した。  Ωの瑞樹は、一番最後だ。 「よぉし、並んだな。では、うさぎ跳び100周開始!」 「声、上げろよ!」 「脱落は、認めんぞ!」  2年生は口々に酷なことを言いながらも、笑っている。 「始め! 1,2,3,4! 1,2,3,4!」  2年生の掛け声に併せて、1年生たちは地獄のうさぎ跳びを始めた。 「声、小さいぞ!」 「何だぁ、お前。もうへたばったのかぁ!」  少しでも遅れると、竹刀で尻を叩かれる。 「1,2,3,4! 1,2,3,4!」  大声が、次第にかすれてくる。  瑞樹は、倒れそうだった。 (もう、ダメ。死にそう……) 「誰か一人でも脱落したら、10周プラスするからな!」  その声に、瑞樹は体を立て直した。 (僕のせいで、皆に迷惑かけちゃダメだ)  その一心で、うさぎ跳びを続けた。

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