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第八章・7

「じゃあ、叶さん。この株は今後数年審査に掛けられますね。増やして、気候の違う場所で栽培して、全てが同じ形質を保っていることを証明しないと」 「そう言うことになるな」 「だったら、バラの研究はまだまだ続けなきゃ。植物園の管理は、僕たちに任せてください。叶さんは、自分の信じる道を進んでください」 「白川くん」  浮き浮きと弾んだ様子で、瑞樹は手をぽんと叩いた。 「そうだ。花言葉、決めましょう。叶さん、このバラの花言葉は?」  何かにつけて、花言葉を引用していた誠だ。  きっと素敵な言葉を考えるに違いない。  そう思い、期待を込めた眼差しで瑞樹は誠を見つめた。 「花言葉は……」 「花言葉は?」 「花言葉は、君を心から愛している」 「え?」  あっという間に、瑞樹は誠の胸に抱かれていた。 「好きだ、白川くん。いや、瑞樹。いつまでも、一緒にいたい」 「叶さん……」  僕の想い、伝わってたんだ。 「誠さん、嬉しい」  バラの甘い香りが漂う温室で、抱き合った。  青いバラの花言葉は、『夢がかなう』。  二人の夢は、青いバラの元で、かなった。

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