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第1話

絶対に運命だと思った。 俺も結城もβ。 でもお互いに惹かれあっている。 それは自分も、 彼も、その周囲もわかっていたことだ。 しかし、βの男同士というだけで俺たちは結ばれない、不毛な恋は秘めやかに育まれても、 決して芽を出すことはなかった。 中学生の頃行われた第二次バース性検査。 第一次の検査とあまり結果が変わることはないが、ごく稀にバース性が変化している者がいる。 バース性のメカニズムは詳しくは解明されていないのだが個体によっては第一次バース性検査時に、固有のバース性が発芽していないことがあり、本来と違ったバース性で診断されてしまうケースがある。 バース性の変化がみられる割合はひと学年に一人いるかいないかぐらいらしい。 だから、俺も結城も 俺がβからΩ、結城がβからαへと バース性が変化していたとわかった時は運命だと思った。 俺たちは運命の番で 惹かれるべくして惹かれあったんだって。 でも結城は俺の首を噛まなかった。 噛んだのは結城の“運命の番”のものだった。

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