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五
三連休で学校はお休み。
だから、光と久々に実家に帰ろうと約束した。いくら寮とはいえ、自分でやらないといけないことは多い。
実家では両親が全てやってくれるから楽だ。それに、光も両親に久々に会いたいと言っていたし。
「ただいま〜。」
光の元気な声が響く。奥からお母さんが満面の笑みでやって来た。
「お帰り、光、夢。今日は2人が好きな唐揚げ作ってるのよ。お父さんも今日は早く帰ってくるみたいだから、2人ともお風呂早めに入りなさい。」
「うん、夢、久々に一緒にお風呂入ろう。」
「うん。いいよ。」
荷物を置いて、パジャマだけ持って風呂場に向かう。ドアを開けたら既に光が服を脱ぎ始めていた。
「夢っ、はやくお風呂入ろう。」
僕も直ぐに服を脱いだ。そして、流し合いっこしたあと、お風呂に2人で浸かった。
「久々だね〜。2人でお風呂入るの。寮になってから夢全然部屋に来てくれないから。怒ってるんだからね。入学前に約束したのに。毎日部屋に遊びに来るって。」
「そうだったっけ?それより、光は今誰が好きなの。」
「へっ、好きって?」
「恋愛の意味で。誰か好きな人できた?」
「そ、そ、そ、そんな…。うぅぅぅ…。」
ぶくぶくと沈む光は恥ずかしそうに目を逸らす。
「好きか、どうかわからないけど、修斗ってなんか凄くかっこよくてね。意地悪なんだけど僕が困ってたら助けてくれるんだ。」
「そうなんだ…。一ノ瀬くんは?」
「えっ?優斗?優斗は…なんだろ…。なんか優斗って優しいし、好きなんだけど、僕じゃない誰かを見てる気がするんだよな。」
光。それは違うよ。いちくんは間違いなく光を見てる。僕じゃない光しか見えてないんだよ。
「光はモテモテだよ?気のせいだよ。」
「モ、モテモテなんて…そんなことないよ…。」
「光は謙虚だなぁ。僕が世界一可愛い‼︎って思っていいくらいなんだから、胸張って‼︎」
「夢のばか。恥ずかしいこと言わないでよ。もう僕あがるから。」
「僕はまだ入ってる〜。」
「分かってるよ‼︎」
ぷんすかと怒りながら光は風呂から上がっていった。間違いなく光は世界一愛されているよ。
そんなことを思いながらも冷めた目で僕は光を見送った。
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