6 / 43

三連休で学校はお休み。 だから、光と久々に実家に帰ろうと約束した。いくら寮とはいえ、自分でやらないといけないことは多い。 実家では両親が全てやってくれるから楽だ。それに、光も両親に久々に会いたいと言っていたし。 「ただいま〜。」 光の元気な声が響く。奥からお母さんが満面の笑みでやって来た。 「お帰り、光、夢。今日は2人が好きな唐揚げ作ってるのよ。お父さんも今日は早く帰ってくるみたいだから、2人ともお風呂早めに入りなさい。」 「うん、夢、久々に一緒にお風呂入ろう。」 「うん。いいよ。」 荷物を置いて、パジャマだけ持って風呂場に向かう。ドアを開けたら既に光が服を脱ぎ始めていた。 「夢っ、はやくお風呂入ろう。」 僕も直ぐに服を脱いだ。そして、流し合いっこしたあと、お風呂に2人で浸かった。 「久々だね〜。2人でお風呂入るの。寮になってから夢全然部屋に来てくれないから。怒ってるんだからね。入学前に約束したのに。毎日部屋に遊びに来るって。」 「そうだったっけ?それより、光は今誰が好きなの。」 「へっ、好きって?」 「恋愛の意味で。誰か好きな人できた?」 「そ、そ、そ、そんな…。うぅぅぅ…。」 ぶくぶくと沈む光は恥ずかしそうに目を逸らす。 「好きか、どうかわからないけど、修斗ってなんか凄くかっこよくてね。意地悪なんだけど僕が困ってたら助けてくれるんだ。」 「そうなんだ…。一ノ瀬くんは?」 「えっ?優斗?優斗は…なんだろ…。なんか優斗って優しいし、好きなんだけど、僕じゃない誰かを見てる気がするんだよな。」 光。それは違うよ。いちくんは間違いなく光を見てる。僕じゃない光しか見えてないんだよ。 「光はモテモテだよ?気のせいだよ。」 「モ、モテモテなんて…そんなことないよ…。」 「光は謙虚だなぁ。僕が世界一可愛い‼︎って思っていいくらいなんだから、胸張って‼︎」 「夢のばか。恥ずかしいこと言わないでよ。もう僕あがるから。」 「僕はまだ入ってる〜。」 「分かってるよ‼︎」 ぷんすかと怒りながら光は風呂から上がっていった。間違いなく光は世界一愛されているよ。 そんなことを思いながらも冷めた目で僕は光を見送った。

ともだちにシェアしよう!