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最近、光は多くの男の子に囲まれてる。 当たり前だ。 あんなに可愛くて、素直で、優しい。偽りのない性格はみんなに愛される。その中にはもちろん、いちくんもいる。 みんながみんな、光に自分を見て欲しくて、かまって欲しくて、光を守る。 「やっぱり、僕と光は全然違うんだな。」 知ってたけど。 諦めてるけど。 悲しい。 いちくん。いちくん、いちくん。 この前、いちくんには頑張って欲しいなんて思ったけど、僕の目の前でやらないで。 見たくないよ、いちくんが光に笑いかける姿なんて。優しく微笑む姿なんて。僕には向けない笑顔…。光、いいな。ずるいな…。 「あっ、夢だ。夢っ、次何の授業?」 僕を見つけた光は男の子たちをおいて僕に駆け寄ってくる。いつもと同じ綺麗な笑顔を向けて。 「数学だよ。」 「そっか、夢は数学好きだからいいね。僕、この前小テスト酷くて…。」 「なら、俺が教えてやろうか?」 光と僕の会話を割って入る空気の読めない男、カイ君。いつもなら僕が勉強教えてるのに。不良だから空気を読もうとしない。 「だめだよ、僕に数学教えるのは夢の仕事だから。」 「ちっ、なら、みんなで勉強しようぜ。」 「あっ、それ楽しそう。ね!夢いいよね?」 「ぼ、くは…。」 ははは、邪魔ってか。 そんな目でみんな見ないでよ。来るなって目、しないでよ。僕だって行きたくないよ。 「ごめん、光。僕ね、今回古文がヤバいんだよね。だから、一人で勉強したいんだ。ごめんね。」 「それなら、俺が教えてあげようか?」 「へ?」 なんで僕に話しかけるの…、いちくん。 おかしいでしょ。 ほら、また誤解されちゃうよ。光に。 いちくん、そんな優しさ見せてたら光に振り向いてもらえないよ? 「ううん、大丈夫。僕、人に教えてもらうの苦手だし。ありがとう、一…ノ瀬くん。」 「えっ…あぁ、うん。」 そんなショックな顔しないでよ。あっ、そっか。いちくんって、人に断られたことない感じの人だった。 みんな優しいいちくんに手伝ってもらえるの嬉しいからな。かく言う僕も。でも、今回は後ろの人たちが怖いし、何よりいちくんと光がくっ付くところ見るのも嫌だし。 「じゃーね、光。僕、もう行くね。」 光の横を通り過ぎるとき、ボソリと男の低い声が聞こえた。 「本当に双子かよ。まったく、似てねぇのな。」 ピシリと身体が固まった。拳を握りしめる。そんなの、そんなの…。 「知ってるよ。」 僕にそう言ったカイ君に含み笑いで返してやった。止まってた足をまた動かす。僕は似てない。

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