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眠れる子羊ちゃんと、ベッドの上の狼くん
◆◆◆◆
東雲は病気になるのは嫌いだった。
怠いし、ご飯を食べるのも辛いし、薬も嫌い。
小さい時、病気がちだった東雲はよく学校を休んだ。
友達とも遊べないし、何より嫌だったのは父親が作ってくれる料理の味がしなくなる事。
病気になると凄く人恋しくなる。寂しくて、ベッドを抜け出して父親を捜した。
父親は小さい食堂を開いていて、店の二階が自宅で、ふらふらと1階へ降りると、父親が側に来て抱き上げてくれた。
ギュッと抱きつくと凄く安心したのだ。
だるくて目を覚まして、寂しくなって…誰かにギュッと抱きしめられて、安心して眠れた。
◆◆◆◆
「あ~もう!」
照哉は真横で熟睡している東雲の寝顔を見つめて、そう呟いてしまった。
ベッドで東雲の添い寝。
21のくせに寝ていると幼くて可愛い。
マツゲなんて綿棒が何本乗るか分かんないくらいに長いし、肌なんて艶々。
つい、ホッペタを指でつつく。
ぷにぷにして柔らかい。
「う~ん」
唸り声を上げて照哉の肩に頭をのせてすり寄ってくる。
寝息が照哉の首筋にかかる。
コイツ…わざとか?
顔がさらに近くなり、照哉はそのまま東雲の閉じたまぶたに唇を押し当てる。
手のひらでホッペタを触ると薄く開いた彼の口から、甘い吐息がもれる。
まぶたのキス感じてるのか?と頬に当てた手のひらを動かし親指で東雲の唇の輪郭を撫でる。
「…ん」
ピクリと反応をする東雲の唇に照哉は唇をおしつけ、軽く何度もキスをした。
ヤバい…食っちゃいそう…。
照哉は東雲の頭を抱き込むように包むと薄く開いた彼の口内へ舌を侵入させ、絡ませた。
意識があるようでない東雲も反応するように侵入してきた舌を嫌がる事もせずに受け入れるように自ら絡めた。
キスが深くなると照哉は東雲の上に乗り、まぶたや頬、首筋に何度もキスを落とす。
ヤバいよなあ…
そう思いながら照哉は東雲のパジャマのボタンを外していった。
**
幸太はソワソワしながら受け付けにいた。
何度電話しても照哉が電話に出ないからだ。
「幸太、仕事しろよ!」
健太がソワソワ落ち着きがない幸太を注意しに来た。
「だって、照哉さん電話に出ないんだもん」
幸太は涙目で健太を見る。
「寝てんだろ?」
「ね、寝てる?東雲さんと?照哉さんと?会長と?えっ?3P?嫌だーっ」
幸太は頭を振りながら叫ぶ。
「違う違う、普通に寝てるって意味!本当、モモちゃんの影響受けまくりだなあ」
健太はため息をつく。
「あ、そっち?」
「最初からそっちだよ。アホ!」
「不安なんだよ、あんな野獣の館に派手なイケメンに変身した東雲さんが弱ってベッドに寝て…俺なら眠り姫な東雲さんに迷わずチュウする!」
「お前の方が危ないな」
幸太の発言に健太はため息をさらにつく。
***
ボタンを一つ外す度に照哉ははだけてくる場所にキスを落とす。
まだ残る赤い印。
そこにも吸い付くようにキスをする。
舌先で舐めるとピクンと反応する東雲。
「…んっ、」
感じるように甘い吐息を漏らす。
「ヤバい可愛いじゃねーか!」
照哉は本気モードに突入する為に自らの服を脱ぐと東雲の着ているパジャマのボタンを全て外し終えた。
が、
それを邪魔するかのようにリビングから鳴り響く携帯の着信音。
無視して行為を続けるが鳴り止まない音にだんだんとイライラしてくる。
あーっ!クソッ誰だよ!
照哉は携帯を止めにリビングに行く。
手にした携帯の表示は幸太。
ち、幸太か…。
「もしも…」
「照哉さーん、良かった」
もしもしを最後まで言わせない勢いの幸太の声は物凄くデカい。
「うるせぇ…」
「あの、東雲さんは?東雲さん大丈夫ですよね?」
幸太の必死な声に、
大丈夫じゃねーよ。今から食う所だよ…と言いそうになる。
「東雲なら寝てるよ」
「会長は?」
「会長なら恋人の所だよ」
「本当ですか?良かったあ」
良くねーよ。と心の中で呟く照哉。
「じゃ、切るぞ」
「東雲さん守ってくださいね」
幸太に念を押され、返事を返す。
会長には食われないけど、俺からはわかんないよなあ。
照哉は電話を切ると部屋へ戻る。
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