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眠れる子羊ちゃんと、ベッドの上の狼くん 3話

誰かの温もりに優しい手がずっと側にあった、そんな感覚を覚えたまま、東雲は目を開けた。 視界に映るのはシンッと静まる部屋。 誰か側にいたような感じがあったのに、部屋には東雲だけ。 寂しい。 無駄に広い部屋。 寮の部屋は小さくて、うるさいアイツらが騒いでうるさいけれど、凄く懐かしい。 たった1日しか経ってないのに、随分と会ってないような寂しさが押し寄せてくる。 だから、病気になるのが嫌なんだ。 誰か…側に居ないとダメになりそうで泣きたくなる。 カチャッ、とドアが開いて照哉が顔を出した。 「おう、目覚ましたか?具合どうだ?」 そう言いながら側に来て額に手を当てた。 凄くホッとした。 照哉の顔を見た瞬間に凄く安心した。 「やっぱ、直ぐには下がらないよなあ…」 まだ熱い額。照哉は氷枕を変えようと東雲の頭の下から枕を抜く。 「待ってろ、氷枕変えてくるから。」 東雲はその場から離れようとする照哉の服の裾をとっさに掴む。 「ん?どうした?何か欲しいのか?」 優しく微笑む照哉に、 「ひとりに…しないで」 と潤んだ瞳で訴える。 ずっきゅーーん。 なんだ、この可愛い生き物は? 東雲にはハアハアくると言っていたモモと幸太の気持ちが分かる!ヤバいくらいに分かる! あああ、コイツぜってぇ小悪魔要素持ち合わせていやがる! 萌通りこして、ぶっちゃけやりたい! ようやく大人しくなった下半身が激しく騒ぎ出す。 ヤリタイヤリタイ、と自己主張。 「す、すぐ戻るから」 落ち着け俺! 自分に言い聞かせながら掴んだシャツから東雲の手を離す。 「やだ…」 東雲は掴まれた手に力を込める。 ちょ、マジ? なに?マジでコイツやべえ! 可愛すぎだろーがー! 「どうしたい?」 照哉が聞くと、東雲は起き上がりしがみつく。 神様…俺を試してますか? 「東雲、んな事したらチュウするぞ!」 理性を失いそうな照哉は精一杯悪態をつく。 「そばに…いてよぉ」 そう言うと東雲の体から力が抜けて、寝息が聞こえてきた。 寝ぼけてたのかよお! 照哉はガッカリしたのであった。 「なんか、疲れてんな。ヤリ疲れか?」 朝、出迎えた照哉を見るなり会長はニヤリと笑った。 「いえ、自分の理性との戦い疲れです」 「ああ、東雲に悩殺されたか?」 会長は照哉が言った意味を直ぐに理解した。 「はい」 素直に返事を返す照哉に会長は笑う。 「ヤレば良かっただろ?」 「ヤッても良かったんですけど、病人相手はちょっと…熱も高いし」 「激しく運動して、汗を沢山かかせたら熱なんて直ぐに下がるだろうが?」 「ああ、そう言われればそうですね」 二人で東雲が眠る部屋へと入る。 「薬は?」 「つい、さっき飯食わせて飲ませました」 照哉はムラムラを押さえつつ朝を迎えていた。 「会長も東雲に悩殺されたんですか?」 照哉の質問に会長はニヤリと笑う。 「抱っこだろ?ちゃんとしてやったぞ。お前に悪いと思いながら身体中触った」 「触った?」 「汗拭いてパジャマ着させたのは俺だからな。まあ、無料で世話してやるほど聖人でもないし、目の保養で勘弁してやった」 照哉はちょっと…ではなく、かなり嫉妬した。 そりゃあ、下着姿の東雲はこの前見たけど、誰かに服を脱がされ裸を見られたらヤキモチも妬く。 「変な事してないでしょうね?」 「ヤッてはないから安心しろ。俺は意識ない奴を抱く趣味はない。」 会長の言葉にとりあえず信じようと思った。 **** 幸太は会長のマンションの近くをウロウロしていた。 どうしよう? お見舞いに行きたい! でも、会長に追い出されちゃうだろうし…。 そう悩みながら既に1時間はウロウロしている。 照哉さんに電話してみようか? 携帯を取り出す。 ユウヤが言った言葉も気になるのだ。 照哉は手が早い。 東雲に手を出さない保証はない。 ボコッ、 いきなり後頭部に衝撃があり、驚いて振り向いた。 「何やってんだよ」 立っていたのはユウヤ。 「あ、いや…東雲さんが心配で」 「不審者っぽく見えるぞ、来いよ」 ユウヤは幸太の手を掴むとマンションへと入って行った。

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