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眠れる子羊ちゃんとベッドの上の狼くん 9話

「いや、全然へいき…」 です。とまで言えない内に照哉は耳に息を吹きかける。 ゾワゾワと頭の毛穴が広がるような感覚に身体も身震いした。 あはははっ、くすぐったさに笑いが出る。 その反応が面白いらしく、照哉は何度も耳に息を吹きかける。 身体を震わせ大笑いしながら、ジタバタと暴れる東雲をガッシリと腕で抱きしめた照哉は面白い玩具を手に入れたみたいに、何度も息を吹きかける。 笑い過ぎて腹筋も痛くなり、東雲は照哉の方へ顔を向け、「いい加減に…」と文句を言おうとするが、思いのほか…照哉の顔が近かった。 東雲と照哉の目が重なる。 東雲は照哉の目の色が気になった。 目は自前なのかなあ?薄い鳶色をした瞳。 照哉がカラーコンタクトをしている姿を見た事ないので自前なのだろうか? 見つめている東雲に照哉はもっと顔を近づける。 「照哉さん…」 「ん?」 じっと自分を見つめている東雲が名前を呼ぶ。 キスしていい?に応えるかのように見える。 東雲からキスしていい?と言う言葉を期待する照哉に、 「目は自前ですか?」 と聞いた。 「は?」 一瞬、何を言ってるか分からないでいる。 この状況でそんな事言うか? 照哉は笑いそうになった。 「自前だよ」 「へえ…凄く綺麗ですね」 こ…こいつ、俺を試してるのか? 子供みたいに目、キラキラさせやがってぇぇ! 「まあ…俺、クォーターだからな。」 目をキラキラさせる東雲は身体ごと照哉の方へ向く。 「照哉さん、クォーターなんですか?生まれは日本?」 「沖縄だよ。じいちゃんがアメリカ海軍の軍人でね。…俺は差別もなく育ったけど、親父は小さい時、イジメられたって言ってたな。合いの子とか言われて」 「お父さん…大変だったんだ…照哉さんはどっち似?」 「親父かな?東雲は?どっちに似てる?」 「知らない…覚えてない。」 東雲はそう言うと照哉の胸に顔をうずめた。 はい? いきなり…、 だからいきなりすぎるだろーっ! 「ど、どうした?」 冷静でいられない照哉は興奮しつつ、聞く。 「俺は自分の顔が嫌い。」 「なんで?綺麗なのに」 「綺麗じゃない。綺麗なのは照哉さんや、ユウヤさんみたいな…俺は綺麗じゃない」 東雲の声が震えているように聞こえ、泣いてるんじゃないかと心配になった。 「東雲、どうした?」 照哉は東雲の顔を見ようと身体を動かそうとするが、東雲の腕が首に絡まり身体の自由を奪った。 だーかーらー、どうされたい? なんなんだ?誘ってんのか? 心配と興奮が交互に来る。 「寮帰りたいなあ…」 照哉の胸に顔をうずめたまま東雲は呟く。 「もうちょっとしたら帰れる」 「みんなに会いたいなあ。凄くウルサいけど、部屋にいつも誰か居たから…眠れた」 「東雲…どうした?ホームシックか?」 「そうかも…照哉さん、しばらくこのままで居てくれますか?」 はい? やっぱり東雲がおかしい… 熱がまた上がったか? 「1人寝嫌いなのか?」 「嫌い…誰かそばに居ないと眠れない。」 照哉はなるほど!と思った。 熱があった時の東雲の抱っこしてはこれだったんだ。 「分かった」 照哉は東雲の身体を強く抱きしめた。 彼が安心するように。 「人肌って好きなんです。温かくて安心する」 照哉の胸に顔をうずめた東雲は照哉の首に回した腕に力を入れる。 子供みたいだな。 照哉もぎゅっと抱きしめる。 「東雲、これからも俺が抱っこして寝てやるから安心しろ。」 「うん」 「だから俺以外とは寝るなよ」  「うん」  小さい子供みたいな東雲が可愛すぎる。  はい。じゃなくて、うん。って返事も萌ツボをくすぐる。  東雲の息が照哉の肌に当たる。  何だろうな、誘ってんのかな?  やっちゃっていいのかな?  理性と欲望の戦いは呆気なく欲望が勝ってしまい、東雲のシャツを脱がすべく身体を起こそうとするが…  ガッシリと首に腕を回す東雲のせいで起きれない。  「東雲、ちょっと腕離して…」  話しかけるが返事はない。  聞こえてくるのは寝息。  ああああーっ!  やっぱ寝ぼけてたのかよおぉぉ!  ガッカリくるも、抱きついて離れない東雲にちょっと満足した照哉はぎゅっと強く抱きしめたまま、眠りにつく。 

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