51 / 135
鬼畜会長と子羊ちゃん 7話
「この店から2組のカップルが出来るとは腐女子には嬉しい限りよ。今度エッチ見せてね」
と画像を交換しながらモモはさらりと言う。
「モモちゃんあまりにも普通に言うからウンって言いそうになったよ」
「ユウヤさんと幸太のはフェラまで見たしなあ。次は照哉さんと東雲のがみたいなあ。照哉さんにフェラされて喘ぐ東雲可愛いんだろうなあ~」
ガツンッ
「いた~い」
後ろから衝撃を食らったモモは頭を押さえる。
「何の妄想を口にしてんだ!」
モモにゲンコツ落としたのはもちろん東雲。
「東雲の野蛮!その野蛮はベッドの中で出しなよね」
モモは懲りずに火に油を注ぐような事を言う。
「モモ!」
「あのお~」
東雲がモモを怒鳴りつけると後ろから声がした。
知らない声に東雲は振り向く。
騒ぎに乗れず戸惑う知らない男性。
ボーイの格好とモップを手にしている。
あっ、
「新人くん」
新人が居たのを思い出した。
「しのめさん違いますばい、新人くんじゃのうてシンジ君ですばい」
英雄氏がこんがらがるような紹介をする。
「あの、店長さんですか?俺、あっ、僕、新人ボーイのシンジです。よろしくお願いします」
東雲に近づきシンジは頭を下げる。
店長……。
いま、店長って言った?誰の事?東雲は思わずキョロキョロする。
「店長ってお前だろ東雲」
照哉がクスクス笑う。
照哉の言葉に店長が自分だとようやく理解した。
ああっ、そうだった!
俺、店長だった!
「みんな東雲ってしか呼ばないからウッカリ」
東雲は笑って誤魔化す。
「改めてまして、店長の東雲です。よろしく。不在にしててごめんねシンジくん」
東雲はニコッとシンジに微笑みかけた。
ニコッとした笑顔。
店長が来たと英雄氏に聞いて挨拶に来たら、銀髪のやたら目立つ男性が居て、しかも何やら騒いでて会話に入れない。
ようやく声を掛けてみると、凄くかっこいい男性だ。
笑顔が可愛くて照れてしまう。
「新人かあ、そっかよろしくな、俺は照哉」
横に居たロン毛を結んでいる男性も綺麗で見とれたシンジであった。
******
「フフフ~ン」
鼻歌混じりに掃除をする幸太。
「露骨に嬉しそうな態度とりやがって面白くねえ」
不機嫌な顔したユウヤが壁に寄りかかり立っている。
「そりゃあ嬉しいですから」
幸太はモップをかける手を止めずにそう言った。
「照哉との仲否定しなかったな東雲」
幸太はピクンと反応する。
「何が言いたいんですか?」
「別に……ドM野郎」
ユウヤはそう言うとその場から離れようとする。
「ユウヤさん」
後ろ姿に声を掛けた。
「何?ドM君?」
ユウヤは振り返らずに返事を返す。
「俺、ショックじゃなかったです」
「えっ?」
ユウヤは思わず振り返る。
「確かに東雲さん好きですけど、ショックじゃなかった………照哉さんを見る東雲さん凄く可愛くて、照哉さんも優しい顔で東雲さんを見てました。お似合いですよ2人」
モップをギュッと握りしめ幸太は震えていて、
「幸太」
ユウヤはモップごと幸太を抱きしめる。
「ほら、今みたいにユウヤさんが俺に優しいから、ショックじゃなかったです」
抱きしめられた腕の中、ユウヤは笑顔で顔を上げた。
「ショックじゃないのは俺のおかげ?」
「悔しいけど、そうみたいです。あの2人見て……俺の頭にはユウヤさんに慰めて貰おうって考えてが巡りましたから」
「なんだよソレ?」
ユウヤは笑う。
「でも、まだ……どうしても好きなんです。だから……もうちょっと好きでいさせて下さい」
震えながらお願いする幸太にユウヤは軽くキスすると、
「だーめ!他の男の事考えるくらいなら俺の事考えろよ。俺は幸太が好きだ」
そう言った。
「会長よりですか?」
ユウヤは言葉につまる。
「ユウヤさんが会長より俺を好きになれば、俺も東雲さん忘れます」
ユウヤは幸太を見つめて、
「幸太が好き。会長よりも」
そう言って幸太を抱きしめた。
「ユウヤさん……」
幸太は言葉の変わりにユウヤにキスをした。
ちょっとビックリしたユウヤ。
「今夜、部屋行っていい?」
と耳元で囁いた。
ともだちにシェアしよう!