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会いたい 4話

渡されたお金は万札の束。 えーと、こんなに要らない………。 なんて思っていると、  「小木に治療代払って来てくれ」 「ああ、はい」 あ、治療費か。なんて思っても渡されたお金は多い。 「後はあの金髪と飯でも食えよ。付き合ってんだろ?金髪と」 金髪は幸太の事。 「はい」 返事をする。 「元気そうで良かった」 会長はそう言ってユウヤの頭をクシャクシャと撫でて笑った。 いつも見ていた優しい笑顔。 会長には沢山の敵が居て、嫌う人や怖がる人が沢山居る。 でも、ユウヤが側に居た時は凄く優しくて、今みたいに優しく笑ってくれてた。 誤解されやすい人なんだと、その時に感じたのだ。 だから好きだった。 久しぶりに見た笑顔に涙が滲む。  「じゃあ、帰れ金髪心配してんじゃね?」 会長の手はユウヤの頬に触れ、指先が涙を拭う。 「はい。……お疲れ様でした」 温かい手のひらが離れ、じゃあーな。と手を振る。  ユウヤは頭を下げて病室を出た。 自分で涙を拭うと、受付を覗く。 「あれ?もしかしてユウヤくん?」 白衣の男性がユウヤに気づき受付から顔を出す。先程、会長と話をしていた医師の小木だ。 「小木さん受付までしてるんですか?」 ユウヤは軽く会釈をする。 「いんや、今日は休みだったのを薫に無理やりね。だから俺しか居ねーの」 「あ、すみません」 何だか申し訳なくて頭を下げるユウヤ。 「ユウヤくん、雰囲気変わったね?なんか可愛くなっちゃって、まだ薫の愛人やってんの?」 小木はユウヤと会長の関係を知っている。 「いえ、もう……」 俯くユウヤの頭をポンと小木は叩くと、  「ちょっと中、おいで」 と部屋に手招きされた。 部屋に入るとコーヒーを渡され、ユウヤは受け取る。 「すみません」 椅子に座り、謝ると、  「前はこんな可愛い感じじゃなかったのにね、女食い物にする性悪ホスト」 小木はニヤニヤとユウヤを見る。 「それ、随分前です。」 ちょっと恥ずかしそうなユウヤ。 今の仕事に就くまではNo.1ホストだったユウヤ。 女はとっかえひっかえ、しかもプレゼントの値段で扱いを変えてた。だから、女達は競って高価なプレゼントをくれた。  でも、図に乗り過ぎて店の経営者の愛人に手をつけてしまい、ボコボコされてた時に会長に助けられた。  もちろんホストは首。 会長の口利きで今の仕事に就いた。それからは、女食いモノにするのを止めたのだ。  「薫に随分、仕込まれたみたいだな」 「はい………まあ、捨てられましたけど」 「今のペットはあの子?」 「はい」 「毛色違うからさ、見た目派手で可愛いけど、中身は違うんじゃない?本来はこんな所に居ないマトモな子っていうか、真面目な感じ?」 「あ、はい。確かに東雲は真面目な子です」 「東雲?あの子、東雲って名字?」 ちょっと驚いたような小木の表情。  「あ、いや……知り合いに東雲って居たからさ。ほら、珍しい名字だろ?まあ、違うだろうけど」 「誰ですか?」 少し、興味を持ってしまったユウヤ。 「俺の知ってる東雲はもう死んじゃってるから、他人だよ、うん」 小木はそれ以上、何も語らず、いや、それよりもユウヤは身体が熱くなっていた。 「どした?」 落ち着きないユウヤに気づき声を掛ける小木。  「いえ……何でも」 なんて答えるユウヤだが、火照りが徐々に襲ってくる。 特に下半身。  自分のモノがギンギンになりつつある。  服の上から膨らみが分かり出し、ユウヤは落ち着きが無くなる。  「トイレ、行ってきます」 とかがむように立ち上がるがフラつき小木に抱き止められる。 「具合悪いのか?ちょっとそこに横になって」 「や、大丈夫」 やばい、勃起してんのバレる!  ユウヤは焦るが力入らず、小木に強引に診察台に乗せられた。  「身体熱いよ。熱ある?」 頬に触れられ、  「やっ」  と敏感に反応してしまう。 「なんか色っぽいねユウヤくん」 小木の手は頬から首筋へ。  そして、シャツのボタンが外されていく。  「や、せんせっ…」 診察されるんだろうけど、身体はそうは思ってないようで敏感に反応している。

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