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会いたい 7話

「誰を殺すって?」 身体を揺すられて、 アンタだよ………っ、と言おうと目を開けた。 自分を見下ろす会長。 胸くそ悪い、 そう思いながら違和感を感じた。  あれ?  服着てる?  自分を見下ろす会長も、ベッドに寝ている自分も服を着ている。 ん?  キョロキョロと周りを見ると、何時もの部屋。  「何、寝ぼけてんだ?」 会長の言葉で、 ようやく夢だと理解した。  起き上がり、ぼんやりしていると、  「照哉、どんな夢見てたんだ?」 と会長が頭を撫でてきた。  「あんたにヤラれる夢」 「へえ、光栄だな。夢に見る程俺のがいいのか?」 と会長は照哉を押し倒す。  「死ねよ、くそ、エロオヤジ」 ジタバタ抵抗する照哉に慣れた手つきで愛撫をしていく会長。  くそ、悪夢だ!  でも、夢で良かった。  「んっ、あっ…」 身体中まさぐられ、照哉は思わず声を漏らす。 「今朝抱いてやったのに、夢見て欲しくなったか?」 ニヤリと笑いながら会長は照哉の服を脱がせていく。  「ふざけんな!」 照哉はガツンと会長を殴り手から逃れる。  「お前くらいだぞ、俺に殴ってくるの」 会長は殴られた腹をさすりながら照哉を見る。  「ふん、こっちの台詞、あんたくらいだよ、無理やりぶち込んでくんの」  照哉は脱がされた服を着る。 「無理やりが好きなもんで」 会長は開き直り、ベッドから降りた。 「照哉、お粥作れるだろ?作れよ」 「やだね。自分で作れよ」 照哉は部屋を出る。  「食うのは俺じゃねーよ」 「誰だよ?灯?」 「3~4日満足に飯も食べずにぶっ倒れた馬鹿やろうに食わせるんだよ。お前が作ったのなら食うだろうし」 「誰の事だよ?」 「東雲。今、俺の……」 寝室と言う前に照哉は寝室に走った。  勢い良くドアを開けると、そこに眠る東雲の姿。 「東雲、なんで?」 慌てたように側に行く。 「店でぶっ倒れたんだよ」 直ぐ後に会長も来た。 ほんの数日会ってないだけなのに、確かに痩せたイメージがある東雲。 「だから粥作れよ」 会長は心配そうに東雲を見つめる照哉の頭をつつく。 「何で東雲、飯食ってねーんだよ」 「さあな、本人に聞けよ」 「バカ東雲。」 「はいはい」 会長は照哉の頭を撫でると、2人っきりにする為に部屋を出て行った。 くしゃくしゃと東雲の頭を撫でる。 バカ東雲、マジバカ! 泣いてたってユウヤが言ってた。 ずっと、泣いていたのだろうか? 頬に手で触れようとすると東雲が目を覚ました。 「東雲!」 思わず大きな声が出てしまう。 東雲はゆっくりと照哉の方を見る。 ぼんやりした視界に、ハッキリとした照哉の声。 ああ、また夢か。と東雲は思う。 ここ2~3日、そんな夢ばかりを見ていた。 やっと会えたのに、そこで目が覚める。 これも夢だ。 でも、頬に触れてくる照哉の手は温かくて、自分に顔を近付けて、  「お前、大丈夫かよ!本当、マジバカ!」 と涙目な照哉に、どうせ夢だからと手を伸ばす。  その手をぎゅっと握られた。 温かくて感触があるリアルな夢。 どうせ夢なら、  「照哉さん、………好きです」 と言葉にした。 はい? 照哉は硬直した。 目を覚ました東雲にいきなり告白されたから。 「東雲、お前……本気か?」 こくんと頷く東雲。 「俺、照哉さんが好き」 そう言われて、全身が熱くなる。 やばい!やばい!  嬉しい! 照哉は東雲に抱きついた。 「東雲、マジ嬉しい!」 照哉は東雲に唇を重ねる。 東雲も受け入れるように照哉の首筋に両手を回す。 互いにに舌を絡め合う激しいキスを繰り返し、何度も、何度もキスをする。 なかなか覚めない夢に東雲はおかしいな。と気付く。 リアル過ぎるのだ。 かかる息も絡み合う舌もリアルで、つい、ほっぺをつねった。 痛い……………っ、  えっ?夢じゃないの? 「お前、何してんだ?」 いきなり自分のほっぺをつねる東雲にキョトンとする照哉。 「だって夢かな?って」 そう答えた東雲に笑い出し、  「夢じゃねーて」 と東雲のほっぺにキスをした照哉。

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