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元々、二人は瑠維の弟の璃音に求愛していた。
完全に璃音へ向けていた瑠維の執着が離れた今、危機は去ったと見ていいとも言える。
忍も玲も、義務で自分を抱いていたのだろう。
璃音を守る必要が無くなれば、体を繋ぐ必要もなくなる。
その証拠に、着替えや食事を届けても、どちらも瑠維と視線すら合わせようともしない。
肌も合わせない、視線すら合わせないと言うのは、そういう事なんだろう。
いつか来るかもしれないと思っていた事が現実になっただけなのだ。
そう思えばいい…。
そう遠くない時期に、二人から話を切り出されるだろう。
その時に、出来るだけ見苦しくないようにしなければならない。
形だけでも愛してくれた二人を、笑って見送るんだ…。
考えれば考えるだけ、涙が滲む。
いつから自分はこんなに弱くなったんだろう…。
タオルを頭に被ったまま、動けない。
「………っふ…、うっく…」
別れ話なんか聞きたくない。
あの二人と離れたくない。
思えば思う程、涙が止まらない。
床にへたりこみ、瑠維は声を殺して泣いた。
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