7 / 181
切ない夜は、傍にいて
◆◇◆◇◆
二週間後。
携帯電話を閉じ、瑠維はエプロンを外した。
「なんなんだよ…、二人ともって…。
せっかく作ったメシが、余りまくりじゃねっかよ…」
ブチブチ呟き、ドカッとソファーに座る。
「忍のバカ…、玲のアホ…。
立て込んでた仕事片付いたから早めに帰るって、朝にはメールしてきたのに…」
テーブルに並んだ皿とコンロに並んだ鍋を見る。
腕に縒りをかけて作った料理は、どれも忍と玲の大好きなものばかりだ。
素材も味も栄養価も考えに考えたものだし、勿論、二人に喜んでもらおうと篭めた気持ちも…。
いつもは少ない時間で仕上げている料理だが、今日は半日かけて仕込んでいる。
…なのに。
よりによって帰るコール代わりのメールが…
『すまない、仕事の切りが悪くて帰れないでいる。玲と先に食べていてくれるか』
『悪い!!仕事の切りが悪くて帰れそうにねぇ。忍と先に食べていてくれ』
「どっちも帰って来ねぇじゃねっかよ…」
拗ねるしかない瑠維なのだった。
ともだちにシェアしよう!