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 二人が忙しいのはいつものことなのだ。  忍は、巨大なコングロマリットである氷室重工の重役に最近抜擢されたばかり。  もともと経営戦略の立て方などに一目置かれていたし、他社との交渉に関しても絶妙なタイミングで動く。  玲は玲で、救急救命センター勤務になってから夜勤がザラだし、非番の日にも急な呼び出しが多い。  小児心臓外科に関しては突出した腕を持っていて、数年後には青海(おおみ)高度メディカルセンターの院長へ就任することが決まっている。  なのに、そんな仕事がデキる男二人を伴侶にしている自分はどうなのだろう…。  レストランで働いているとは言え、料理をするしか取り柄がないではないか。  彼らにとって、自分は本当に役に立てているのか?  あの二人に釣り合っているのか?  ただ二人の帰りを待っているだけで良いものなのだろうか…?  終わりの見えた関係に、日々不安は増えている。  そう思うと、どんどん気持ちが落ち込んで来る。  クスンと鼻を鳴らし、瑠維はクッションに顔を埋めた。

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