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耳を掴まれたまま、カンファレンスルーム迄引きずられて来た。
「そこに座れ」
顎をしゃくって指示された椅子に、所在無い心境で座る。
何度か逆鱗に触れて半殺しにされた事がある玲にとって、体格が逆転した今も荊櫻が恐ろしくて仕方ないのだ。
「お前、いつからアレを食って無い?」
「……………………………は?」
竦み上がった状態で回らない頭が混乱する。
『………………アレ?
アレってなんだよ…』
目が点の玲に、荊櫻の怒りが倍増した。
ギリィッ!!
「うあああっ!!
痛っ、痛えっつのーーーーっ!!」
「私を馬鹿にしてるのか?
あ"?
貴様が三度のメシを食ってるのは、しっかり把握済みだ。
私が"食ってるか"と聞いたのは、アレだアレ。
うちの長男しか居ないだろうが」
淡々とした口調の中に、抑え切れない灼熱の怒気がある。
数年ぶりに逆なでしてしまった逆鱗に、玲は心底竦み上がった。
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