38 / 181

「私は言った筈だ。  つまらない意地を張るな、家に帰って休めとな」 「意地なんか張って…」 「ないと言うのか、このクソ馬鹿があっ!!」  ガスッ!!  どおっ!! 「うぐぅっ!!」  頭一つ分背が低い華奢な体が放ったのは、見事としか言いようのない一本背負いだった。  床に転がされた玲。  異様な殺気を感じで飛びすさる。  ゴスッ!!  半瞬の差で、減り込む程の勢いの肘が床に入る。 「マジ……か…よ…?」  荊櫻が何故怒っているのか、殺気を向けられるのか解らないまま、玲は立て続けに繰り出される拳と蹴りを避け続ける。  ビシッ!!  空気を震わせて伸びてくる腕。  拳の軌跡に陽炎がゆらぐ。 「ちょ、ちょっと待って…、くれ…って…」 「知るか」  ガードに出した手を避け、高速で後ろに回られる。  ガッシ。 「んな………っ!?」 「隙ありだ」  後ろから回された細い腕。  胃の前で手が組まれる。  フワリ。 「………………っ??」  状況が掴めないまま、視界が回転した後…。  ズシャッ!!  上背のある玲の体が床に沈んだ。  総合格闘技でもお目にかかれない、見事な裏投げが決まった瞬間だった。

ともだちにシェアしよう!