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 柔らかな頬を撫ぜ、うっすらと開いたままの唇を啄んだ  微かな反応も見せない君は、何の夢を見ているのか…  ―――共に死んでくれないか  そう君に告げた時の表情は、まるでつい今しがたの事のように鮮明に思い出せる  大きな目をさらに開いてこちらを見た君の瞳の中の僕は、球体に映ったせいか歪んで捩れて…  それでも笑っていた  人に死を望んだと言うのに笑顔だった僕を、君はどう思ったのだろうか  絹のシーツで整えた寝床に横たわる恋人は深い眠りから目を覚まさない  そうっと隣を抜け出して、用意してあった酒を雑な所作で玻璃の器に注ぐ  かちんと音を響かせたそれを君が見たら、血相を変えて怒るだろうか  とろりとした琥珀色の、深い闇にも見える甘露は僕をどこかへ攫ってくれるだろうか  重く垂れこめた、濃密な性の臭いを満たした部屋を泳ぐように横切ると、微かに空気が動いて光に埃が舞う  目覚めなければいいのにと願いながら君の隣に転がるが、また再び日を浴びる恥を晒す羽目になったらしい  白く細い手足をまっすぐに伸ばして体の横に付け、一糸乱れぬ姿の君は美しい  だからそう、共にと申し出た  日を浴びても真白なままの肌  天真爛漫に跳ねる黒髪  理知を宿しながらも悪戯を知っている瞳は…  手をすり抜ける陽光と同じだった

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