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「女の子の手作り弁当」 「へ?」 「可愛い、女の子が、作った、手作り、弁当が、食べたい」  懇切丁寧に区切って言ってやると、汰紀の目に昏い明かりが灯る。  じり…と自らの身を焼くその炎は…嫉妬だろう。  視線が向けられ、ゾクゾクする。  オレの心に『誰か』が現れた事に対する怒りが燃え上がるのが見えた。 「なんでもいいって言ったのはお前だろう?」  挑発するように言ってやると、はっとその火を埋火に変える。 「う……」 「じゃあ頼んだからな」 「そ、そんなの、…商品じゃないじゃないか…」  そう反論するも言葉は弱々しい。  オレはにやりと笑って煮豆の昆布を弾き飛ばした。

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