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古びた公園の端に彼はいる。
だからオレは今日も彼に逢いに行くんだ。
その公園のあった場所は元々神社で、先の戦争の際に空襲で無くなり、後に公園が作られたのだ。
彼は、そこを守っていた狛猫だ。
そう、狛猫。
もし彼が狛犬であったならば、珍しがられずに廃棄されていたかもしれない。
けれど地元民の声と珍しさに彼はこのまま置いておかれることとなった。
そして、空襲で被害を受けたオレは廃棄され……人間に生まれ変わった。
「………寒そう」
彼は寒いのが苦手で、冬の夜はお役目の場所から抜け出して二人で寄り添っていた。
お互いが狛猫であった時は触れれば温かいとも思ったけれど、人間の体で触れた彼はブロンズの冷たさだ。
人目も憚らず彼を抱き締めたいと思うのにそれが出来ないのは、人間として生まれてしまったからだろうか?
せめて猫にでも生まれ変わっていれば、彼の足元に擦り寄る事もできただろうに…
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