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一般生徒が登校する中に目を凝らせば、すぐに見つける事が出来る。
髪が茶色いとか、一際大きいからだとかそう言った事ではない。
「…惚れてるからか……」
「え?何か言った?」
生徒指導の先生が尋ね返すが、なんでもないですと返しておく。
「あの子、学年と組をチェックして来て」
案の定、朝の校門チェックで一宏が引っ掛かる。
オレは先生のその言葉を待って堂々と一宏へと近付いていった。
「校則違反なの、分かってるよね?学年と組、番号を教えて」
「あぁ!?んだと?」
「学年、組、番号。それとも職員室に直行するか?」
「ちぇっ…1年、B組、28番」
「よろしい」
オレがチェックし終えると、一宏の目がきらりと光った。
「『…面白くねぇ…』」
「『文句があるなら、堂々と言い返したらどうだ?』」
「『ちぇっ…おぼえてろよ』」
遠巻きに生徒たちが見守る中、真っ直ぐに睨み合う。
体育倉庫で会おう。
公然と、そう睦言を言い合って、オレ達はすれ違った。
こっそり二人で、密会を重ねる為に…
END.
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