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この恋はアウトレット 1
そこはアウトレットモールの一角、二人組の男がこそこそどころではない声で下品な話をしていたから気が行くような、そんな片隅。
店舗の看板を見てみると『J・G』とある。
アンドロイドの専門店で有名な会社のロゴだった。
「……こんな会社でも入るんだ……」
普段は敷居をまたぐのも躊躇するような店が並んでいるのにも驚いたが、この『J・G』は扱うものが扱うものだけにアウトレットと言われてもピンとこなかった。
とは言え、専門の整備用品も必要と聞くのだから、そちらが主商品だろう。
どちらにせよ、オレのような一般人には縁のない世界だ。
ぎゃあぎゃあと面白半分に上がる声に顔をしかめて背を向けようとした時、ガラス張りの店舗の中から男が一人こちらに向かって会釈した。
それが、『J・G=9874・15』との出会いだ。
「じゃあ、洗濯よろしく」
大学生のオレにとって、アンドロイドなんてものは贅沢も贅沢……いや、例え社会人だったとしてもそれを所持して維持するのは骨の折れることだったろう……
「あ、はい!いってらっしゃいませ!」
容姿端麗なイメージばかりのアンドロイドにおいて、どうしてこの『J・G=9874・15』……いや、命名イチゴはこんなに野暮ったいのだろうか?
背は高いから、身長だけで言うのならば目立つのではと思うけれど、その顔立ちだけを取るなら広告にあるアンドロイドとはかけ離れて……まぁ、愛嬌のある顔だった。
大きな体を狭い玄関とも廊下とも使いないような場所で小さく縮めて、にこにことした顔で「お帰りをお待ちしております」と嬉しそうに言う。
「ああ、うん。行ってくる」
正直、学校にバイトにと疲れて帰ってきて出迎えてくれるなら可愛い子か綺麗な子の方がいいんだけど……
オレを見送るためにベランダに出ているイチゴを一度振り返ってから、大学へと向かう。
あの時、男達の
「半額以下だって」
「新品じゃねぇんじゃねぇの?」
「あー……だってほら、コア向け商品だからだ」
「ソッチ目的じゃなくても、家事だけして貰えば良くね?」
「家事だけにこの値段かよ」
「口は、どんなアンドロイドだって一緒だって」
「それを言うならアナだってだろ?」
「あーまぁそこはね、汚れもねぇだろうし、アリか」
そんな下卑た大声が店の中に届かないわけはなく……
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