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この恋はアウトレット 2

 目が合った男は会釈した後しょんぼりと身を小さく小さく竦ませて、ショーウィンドウから逃げたがっているようだった。  別段、人目を引くような容姿ではなかったため、間違って店員がショーウィンドウに入ってしまったのかと訝しんでみたけれど、胸元に付けられた『50%off』の文字が見えて……  それに酷く衝撃を受けたのはどうしてだったんだろうか?  しょぼくれた見た目が?  恥ずかしそうに見える背中が?  男達の視線に晒されることが?  どうしてだか、堪らなく嫌だった。  だから次の瞬間には店に飛び込んで、あれよあれよと言う間に学生ローンで買っちゃってたわけなんだけど……  そんなこんなでうちに来たイチゴは、男達が言っていたように一通りの家事もできるし、受け答えに変なところはないしで人間と何も変わらなかった。  ただ一つ、   「あっ  あーっ!ごしゅじ 、じんさまぁっあ、んン゛ン゛ぁ! あーっ‼とろけちゃぅ、チン〇ンきも きもちぃ  ……ぁ、んっ」  セクサロイドだって部分を除いたら、だ。  家に帰り付いた途端、噎せ返るほどセクサロイド用の疑似精液の甘ったるい桃の香りがして、狭い廊下に白い尻がへこへこと動いてるのが見えた。  オレが昨日の夜、洗濯籠に入れたボクサーパンツに必死にナニを擦り付けて、ひんひんと泣いているんじゃないのかと思うような声で必死になっている。  幾度達したのか……もう下着はイチゴの精液でぐっしょりだ。 「やぁッ あーっ、ぉ、ぉ あ゛っは、ぁあ んっ」  本体が帰って来たって言うのに、イチゴは昨日着ていたオレの服に顔を埋めて再び猛り出した自身を扱くのに必死のようだった。  泣きながら吸い込んでいるのか、じゅるじゅると言う鼻を啜る音が時々聞こえてくる。   「ごしゅ、じ、さ  ぁ、あ゛ チン〇ンっ チン〇ンからびゅーってぇっ!あ゛っご主人様のケツマ〇コおれのかたちにして、ごりごりせーしこすりつけさせてぇご主人様はおれのだってマーキング、させてぇ」 「…………」  さっきからご主人様ご主人様と言ってはいるが、イチゴはオレが帰って来たことには気づいていないと思う。  止まらない腰と手の動きを見ていると、なんとも言えない置いてきぼりの醒めた感覚に襲われて……  大男がへこへこと尻を上下させている光景を眺めながら、とりあえず靴を脱いで廊下へと上がるが、ここまでしてもイチゴはオレの存在に気づかない。  正直、目の前でエロいことをされても当事者じゃなければキモ いやいや、ドン引きするだけだ。 「…………」  かける言葉を見つけることができないまま、そろりと端を通って部屋の中に入ろうとする も、見ダメ通りの逞しい手がオレの足首をがっちりと掴む。  それはさながら万力のように動かなくて、こいつが人間じゃないんだなって思い知らせてくる。

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