199 / 262

「忍…?」 「ん?」 「やっぱり、かなり待ってたよね?  手…凄く冷たくなってるし…」 「このくらい、大した事は…」 「俺にとっては大きな事なんだよ、忍…」  いつも瑠維をさりげなく気遣い、大事に大事にしてくれる忍。  車の中ではなく、ずっと外で待っていたのだろう。  忍の手は、とても冷たかったのだ。  両手を掴み、瑠維は頬へと持って行く。 「………瑠維…?」 「これで、少しはあったまるかな…」  さっきまで厨房で働いていた瑠維の頬から、痛い位に冷えた忍の両手に温かさが伝わった。

ともだちにシェアしよう!