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「瑠維」 「………ッ」 どっくんっ! 優しく落ちついたテノールの声で呼ばれ、もう一度心臓が跳ねた。 「済まない。待たせてしまったな…」 「う、ううん、そんなに待ってない…」 「そうか…?」 甘い表情を浮かべて自然に差し出された手。 それだけで心臓が早鐘を打ったようになる。 「……………っ」 手を重ねると、ますます動悸が激しくなってきて、頬だけでなく身体全体がボッと熱くなってしまう。 真っ赤な顔で俯いた瑠維を、忍は嬉しそうに愛車までエスコートしてくれた。

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