244 / 262

湖に向かう山道を通り、車は一軒の瀟洒な屋敷の前で停まった。 「着いたよ」 「……ん…っ」 気遣うように触れた指にすら、体は敏感に反応を示す。 愛しい伴侶に恋い焦がれて尽くしまくる性質だけでなく、到着した場所自体も瑠維を煽るきっかけになっているのだ。 璃音への狂おしいまでの思慕に暴走した瑠維。 忍と玲によってその執着を削ぎ落され、深い愛情を注がれる喜びを知った場所。 永遠の繋がりを約定して貰えた、瑠維にとって特別すぎる場所。 ……県境の別邸だからだ。

ともだちにシェアしよう!