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GAME7
目が覚めると腕の中にカナさんがいた。向かい合い、カナさんはおれの胸に顔を埋めるようにして眠っている。どこがショートスリーパーだ。いや、その前にどういう状況だ、これ。
四月といってもまだ少し肌寒く、腕の中のカナさんはちょうどいい湯タンポのようだ。首すじに当たる金の髪はふわふわでやわらかく、やはり昨夜感じたようにカナさんはいい匂いがする。
悪くねぇな。ふと、そんなことを思う。お互いに割と神経質で、こんなふうに誰かと一緒に寝るなんて考えられないはずだった。それなのに、おれはこの状況を悪くないと思っているし、なんだったら二度寝まで出来そうな勢いだ。自称ショートスリーパーのカナさんだって、気持ち良さそうに寝こけている。
きっと相性がいいんだ。そう思ったらなんだか嬉しくなって、おれはもう一度目を閉じた。
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