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GAME7

「起こせよ! なんで二度寝すんの?」 「うるせぇな。カナさん、ショートスリーパーなんじゃねぇの? めっちゃ気持ち良さそうに寝てましたけど!?」 「あぁ? それとこれとは関係ないだろ! 今、何時だと思って……あー、ほらピンポン鳴った! あいつら来ちゃったじゃん!」  バカ! と捨て台詞を残し、カナさんが大慌てで部屋を出ていく。現在、午後の一時。今日は新作ゲームを他の実況仲間と撮る予定で、約束の時間がちょうど今。 「ハルくーん! 早く!」  カナさんに急かされ、ため息をひとつ。眠っている時は、あんなに可愛かったのに……ん? 可愛い? いや、違う違う。可愛いじゃなくて、大人しかったのに、だ。うん、そう。絶対そう。  ふたりでの生活が始まってまだ二週間も経っていない。だけど、きっと昨日より今日、今日より明日、おれたちは楽しくやっていける。  しかし、この数十分後に、おかしな感情に自分が支配されることになろうとは、この時のおれはまだ知らない――。 【第一部 完】

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