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第12話 「ふたり」・4
「……はぁっ、……あ、……」
弾む呼吸に甘い刺激。天凱さんの匂いがする枕と布団。天凱さんの部屋の天井や壁の色、全部……全部。
包み込まれて、五感から侵されて、俺の全てが天凱さんの物になる。
この布団になって、眠る天凱さんを優しく抱きしめたい。
あの椅子になって、書き物をする天凱さんの体を支えたい。
部屋そのものになって、ここで生きる天凱さんを外の危険な物から守りたい。
「あっ、……や、ぁっ……」
大好きなんです。
貴方の存在全てが愛おしくて、どうしようもないほど大好きで、貴方を想えば切なくなって、会えれば極楽にいるみたいに幸せで、……
もしも貴方に出会えていなかったらと思うと――思っただけで、涙が溢れてしまうほど。
「大好きです、天凱さん……! 貴方が好きです、心から愛しています……!」
「彰星、……俺も大好きだ。お前のためなら何だってする。三千大千世界で誰よりも、一番に愛してる……」
俺達は一糸まとわぬ姿で強く抱き合い、何度も何度も唇を重ねた。激しく絡み合う舌と、一つになる温もり。指先を合わせて握り合って、永遠の愛を誓い合う。
「は、あっ……」
口から抜かれた天凱さんの舌が、俺の首筋や喉仏を這う。それから鎖骨へ、胸の上へ。体の色々なところを愛した後で、俺の取り分け弱いところ……乳首の上に唇が被せられた。
「んんっ、あ――あぁっ、あ……!」
気持ちが高ぶっているせいでいつもより感度も上がっているみたいだ。天凱さんの舌の感触がはっきりと体に伝わってきて、何だか凄く淫らな気分になってしまう。
「反応が良いな、彰星」
「……き、気持ち良いです……。天凱さん……、もっと……」
「任せろ」
「――あぁっ!」
含んだ乳首を激しく吸い上げながら、天凱さんが俺の下半身へと触れる。恥ずかしいほど屹立した俺のそれが握られ、上下に擦られ、揉まれて、また擦られる。
「て、ん……がい、さんっ……!」
たっぷりと愛してもらった後は、俺もあぐらをかいた天凱さんのそこへお返しの愛撫をした。天凱さんの大事な男の証――それは俺を気持ち良くしてくれる、雄々しくて力強くて逞しい、まるで天凱さんそのもの。
「ん、んう……、はぁっ……」
俺は夢中で天凱さんのそれを頬張り、音を立ててしゃぶった。どんなに愛撫してもし足りないくらい。ずっとこうしていたいとさえ思えてくる。
「彰星っ、……やっべえ……って、もういい、……」
「あ、……良くなかったですか……?」
まだ不慣れで下手だから、激しくし過ぎてたまに歯が当たってしまっていたかもしれない。……顎も少し痛いし。
「技術よりも、お前の気持ちが嬉しくてよ。そんな一生懸命にしゃぶられると……興奮し過ぎて頭の血管が切れそうになる」
「そ、それは大変です……!」
慌てて天凱さんのそこから顔を離し、俺は体液塗れの口元を手で拭った。
「でもお前が頑張ってくれたお陰で、すぐにでも突っ込める状態にはなったぞ」
「わっ……」
再びベッドに転がされ、足首を掴んだ天凱さんが俺の股を大きく開かせる。俺を見下ろす自信に満ちた大きな目――これからすることへの期待で体の芯が震えた。
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