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第1話 樹姦
幼い頃から少年は森の中のその樹の下にいた。
森にはめったに誰も入らなかった。
入るのはよそからくる旅人くらい。
古い古い森だから誰も畏れてはいらない。
でも少年が森に入ることを気にとめる人はいなかった。
誰も抱きしめてくれる人のいない子供だったから、少年は代わりにその樹の幹を抱きしめていた。
母親や父親に抱きつくように。
枝が優しく包んでくれた。
夜に家から出される子供だったから根を膝枕の代わりにして眠った。
何故か寒さはかんじなかった。
少年はその樹の下で初めて自分を慰めることを覚えた。
根に自分のそこを擦りつけると気持ち良かったことが始まりだった。
追い出される夜に、そこで密かにそうすることを繰り返した。
幹や葉を汚してしまうことに罪悪感と、密かな満足を覚えた。
終わる度に、火照った身体を幹や根に擦り付けた。
そのうちそこで眠る度、夢の中で、誰かに抱きしめられて、指で高められる夢を見た。
自分が拙く触るだけでの愛撫とはちがう淫らな夢に下着を汚して目をさましたりもした
樹を愛した。
人に愛されたことがなかったから。
恋人のように幹を抱きしめて。
人に抱かれたことがなかったから、夜夢見る人の肌も、この樹のように想像した。
夢みる人を思って、樹を抱きしめながら自分で慰めもした。
幹に擦りつけて何度もイった。
誰にも構われない少年の、樹は恋人だった。
夜毎、夢の中の恋人は、少しずつ少年の身体に教えこんで言った。
性器以外の場所を触れられる気持ち良さ。
緑の匂いのする、葉のような舌が口の中の気持ち良さを教えてくれた。
上顎を舌で擦られたなら腰が抜けること。
舌を擦り合わせ、唾液を交換したなら、勃起してしまうことも。
独特の樹木のような質感の指は、胸の2つの乳首は性器なのだと教えてくれた。
そこを摘ままれ、潰され回されたなら、声をあげて果てるしかないことを少年は知った。
青い匂いのする液体を注がれ広げられ、後ろの穴を指で愛されることも知った。
固い指が入り込み、そこを擦る。
叫んでしまうほどの快感。
そこで性器からじゃなくても、極める事ができることを少年は知る。
良い場所を教え込まれた。
夢の中で何度も何度もイかされた。
欲しいと強請ることも教えられた。
誰もいない森の中。
夜の中、夢の中。
少年は教えられる快楽と、優しさに溺れていった。
緑の匂いに包まれて、身体に快楽を教え込まれる。
性器も乳首も後ろの穴も・・・日ごとに快楽に敏感に貪欲になっていた。
自分を愛してくれる指に、自分から腰をゆすって欲しがった。
指の数を増やされることを喜んだ。
もう、追い出されるのではなく、夜には自分から家に戻らなくなっていた。
もちろん、誰も気にとめないのだし。
そして、わからないけど、もっと欲しくなっていた。
指なんかよりもっと・・・何かで埋めてほしくなっていた。
まだわからないけれど。
そして、ある夜初めて声で囁かれた。
恋人の声を聞いたのだ。
お前の全てをくれ、声は言った。
お前に深く入りたい、と。
少年は笑った。
最初から全部あなたのものだと。
少年は恋人に全てを奪われた。
固いものをあてがわれ
遠慮なく、一番深くまで貫かれた。
準備の出来上がった身体はそれを喜んだ。
旅人が夜を急いでいた。
人の住むところまでは後すこし。
すっかり暗くなってしまった。
この森は通らない方が良いと言われたけれど、明日までにはつきたくて無理をしてしまったのだった。
森の中でその声を聞いて旅人は怯えた。
それは悲鳴のように聞こえたから。
でも旅人は確かめずにはいられなかった。
こんな森の中に人がいるとは思えなくて。
声がした方に向かうと、明かりがみえた。
古びたランプが樹木の下に置かれていた。
やはり人が。
じゃああの悲鳴は
旅人は自分のもつランプで照らした
旅人は悲鳴をあげた。
少年が樹につるされていた。
枝や葉を身体にまきつかせて。
裸だった。
少年は身体を痙攣させていた。
少年にまきついている枝や葉も蠢いていた。
生き物のように。
少年の身体を愛撫するように。
いや愛撫していた。
濡れた葉は少年の口の中をむさぼり、葉や枝はすっかりとがった少年の乳首にまきつき、締めつけ、緩め、押しつぶしていた。
そそり立つ性器に巻きつく枝は扱くような動きを繰り返し、少年のそこは濡れそぼっていた。
何より、濡れた太い枝が少年の後ろの穴を貫いていた。
太すぎる枝を少年のそこは飲み込んでいた。
目一杯広げられ貫かれていた。
自分からも淫らに腰が揺れて、欲しがっているのがわかる。
枝が一人でに動く。
いやらしくねっとりとした動きをくりかえす。
角度さえ変えて、少年を責めていた。
ガクンガクンと少年の身体が揺れる。
奥深くまで、送り込まれ、少年は声を上げる。
悲鳴のような、快楽の声を。
奥を突かれて泣き叫ぶ。
まるで、そう、セックスのように。
少年は枝や葉の動きに淫らに身体をしならせ、震わせ、叫び、ダラダラと射精し続けていた。
それは淫らな光景だった。
樹が人を犯していたのだ。
おわることなく。
旅人は悲鳴をあげた。
魔物が少年をむさぼっているのだと、旅人は悟り、逃げ出した。
村にたどりつき、夜明けに村人達とそこに戻った時には少年はもういなかった。
あったのは古いランプだけ。
ただ、そこにある樹木の幹はまるで二人の恋人が抱き合うような形にみえた。
END
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