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第4話 神の花嫁

 嫁とりにやってくる。  嫁とりに。  怯えていても連れていかれる。  何故か嫁に選ばれた。  男なのに。  印が背中にあらわれて。  この村では昔から印がでた者は連れていかれて帰ってこなかった。  もうどうすることも出来ない。  神はとても恐ろしい。  連れていかれる。  でも、逃げ出した、幼なじみの青年と。  都会に逃げた。  背中を焼いて印を消すことにした。  この印を目当てに神がやってくるから。  幼なじみは泣きながら焼くことを承諾してくれた。  タバコを押し当て、焼いていく。  焼かれる度に、苦痛の声を漏らすのが耐えられないと、幼なじみは泣いて首筋にキスをした。  少しでも気が紛れるか、と下半身に手を伸ばされた。  まだガキの頃に扱きあいをしたことを思い出して笑ったら幼なじみはまた泣いた。  泣きながら扱いてくれた。  優しい指に素直に「気持ちい・・・」、と言ったら、「ごめん」と繰り返し、背中に涙を落とした。  そしてまた、背中にタバコを押しつけた。    押し付けられながら扱かれ、イった。  苦痛に焼かれ、扱かれているうちに、身体が絡まりあっていく。  服を脱ぎ捨てていた。  肌と肌が重なり密着した。       尻の狭間と性器に、幼なじみの硬いものがこすり合わされ、唇が舌がもつれ合う。   幼なじみは苦痛で苦しむ身体を溶かしてくれた。  尻の狭間から性器までを熱く堅い濡れたモノに擦られ、その気持ち良さに喘いだ。  指でも優しく扱かれ、声を漏らす。  また煙草が背を焼く。  優しく溶かしたらまた一つ煙草を背中に押し当てる。  それが繰り返されるたびに身体はもっと互いを求めていく。  幼なじみの舌を唇を歯を欲しがった。  胸の尖ったそこを、そうされたくて。  焼かれながらそこを指で潰され、またイった。    気がつけば、昔の扱きあいでは使われなかった後ろの穴を舐められていた。  でもそれをもう受け入れていた。  そこで舌だけでイカされ、また煙草を押し付けられる。  イく度に焼くから。   そう囁かれた。  焼かれるからイくのか。  イくから焼かれるのか、脳はわからなくなる。  焼かれなから、貫かれた。  みっちりとしたモノが入ってきた。   幼なじみの、モノ。  苦痛と快楽に、叫んだ。  貫かれる痛みも、背中を焼かれる痛みも・・・快楽のように思えた。  もっと。  もっと。  もっと。    泣き叫んで欲しがった。  幼なじみは深く貫いてくれた。   背中を焼いてくれた。  誰にも渡さない。  幼なじみが言った。  離さないで。  そう答えていた。  そして、幼なじみは恋人になった。    そうやって逃げて数年。  都会でふたりで暮らしていた。  そっとふたりで。  毎晩のように繋がり、愛し合う。    ここはもうオレの印だ、と恋人は背中の火傷に毎夜キスをする。   この印はオレの印だ、と。  そこを舐められたり、キスされると、それだけで達するほどに感じられた。  舐められたなら、おかしくなって、どこまでも乱れてしまう。  焼かれながら恋人にされた日を思い出すからかもしれない。  舐められたら、熱くなってしまう。  そこがそそり立つ。  中が疼く。    「誰にもみせないで」  恋人はそう囁くから、誰にも背中をみせなかった。     恋人は背中を舐めてくる。   その跡を執拗に。    舐めて背中のそこだけでイカされる。    性器をがひくついた。  中がひくついた  まるで身体の奥の、深く入らないと感じないはずのその場所が、背中にもあって、そこを直接舐められているように、そこだけで何度もイってしまうのだ。  いちばん奥を舐められている。  深く刺して貰わないと届かない場所を、それが背中にある。  舐められる      声にならない。  ただイくだけ。    「オレの印だ」   うっとりと恋人が呟く。  恋人の舌に泣き叫ぶ。  もっと。  もっと。  お前のものだから、と。  背中の火傷の跡など、本来なら気にも止めないのだけど、でも、そこはいやらしい場所のような気がして、恋人の言うことを守って誰にもみせなかった。  そして性器よりも恥ずかしい場所なので、自分でもみたいと想わなかった。    ある日気付く。  普段なら絶対みない背中を鏡で見てしまった。  わざわざ見ることのない背中を、たまたま見てしまったのだ。  背中には火傷の痕などなかった。  綺麗な印がまだそこにあった。  そんな。  焼いたはずなのに。  毎夜恋人がその火傷の痕にキスしているはずなのに。  痕が消えたのか。  そう思った。  神に見つかったのだ、そう思った。  怯えてまた逃げる準備を始めた。  恋人は出かけていたがすぐに帰ってくるはずだ。  持てるだけの荷物をまとめて・・・。  そして、気付いてしまった  あるのは自分の免許だけ。  恋人の身分を示すものは何もない。  幼い頃からすっとそばにいたはずなのに、持ち出したわずかな写真のどこにもいない。  よくよく考えたなら、幼なじみであるはずなのに断片的にしか記憶がない。  長くにげていたから、避けてきた村へ電話をかけた。  恋人の名前を出しても、誰も知らなかった。  恋人は、誰?  誰なのか?    恋人を震えながら待つ。  一体誰なのか知りたくて。  恋人はかえってきた。    困ったように笑いながら。  「ずっといたさ、ずっとね。だって、お前は僕の花嫁だもの」  逃げられないのだと知る。  ずっと捕まっていたのだと知る。     「気持ちいいだろ。ここはお前のためにつけた印だから」  背中を舐められる。  悲鳴なのか快楽の声なのかわからない叫び声が、自分の喉からしていることに気付く。  でも気持ちいい。  恐ろしいのに気持ちいい。     背中の印にキスされて、人ではないものに愛される END。  

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