説明位しておくべきだったと、扉を少し開けた。 「コンロ下の…」 　廊下の光に照らされて、見上げなければならない忍さんはやはり威圧的だ。 　俺の説明を聞いて頷いた忍さんは下に行くかと思ったが、そのまま立ち尽くして俺を見下ろしている。 「あの、何か…」 　伸びた手が… 　俺の喉元に触れる。 「あ　―――っ」 　熱い指先に触れられた鎖骨が火傷したのではないかと思った。 　跳ねた体を押すように忍さんの掌が押し付けられて… 「ぃ、やだっ!!」 　腕を払った拍子に倒れ込みそうになった俺の腕を忍さんが掴まえて助けてくれたけれど… 「はな、離して…く、だ……」　 　俺の震えは隠しようもないほどで、きっと忍さんに伝わってしまっているだろう。 　でも俺にはそれを隠す余裕もなくて、震えて忍さんの腕を振り解けないでいるままだ。 　みっともない、震えるしかできない、貧弱な姿。 「……食べれないものは？」 「え…」 　俺がきちんと立っていられるのを確認してから手を放した忍さんは、何事もなかったかのようにそう尋ねてきた。 「ないなら勝手に作るが構わないかね」 「……はい」 　ちりちりとした熱を残した鎖骨を押えながら、頷きを返した。