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第1話 執着

 今日も酷いことをした。  目の前で違う男を抱いて、それを見ることを強要した。  違う男の身体を、恋人にしているように触れた。  恋人にいつもするように、乳首を齧り、舐めて、そこでだけでイカせる。    見せつけるように舌を使った。  舌先で乳首を潰されるのが好きな恋人に。    嫌がって出て行こうとするのを許さなかった。  手錠で繋いで、隣に寝かせ、そこで連れてきた男を抱いた。  恋人に囁く甘い言葉を囁いて、恋人にしていることをした。  泣きながら目を綴じている恋人の横で、濡れた音を立てて出し入れし、男を大声で鳴かせた。    感じさせ、愛してると言わせ、何度も後ろだけでイカせた。  目を固く閉じた恋人にわかるように、何されているのがを実況させた。  奥をトントンして・・・ああっ、    そこっ、グポグポしてぇ・・・   ああっアアッ  イく・・・  イく・・・  可愛いね、とその男に囁いた。  恋人にするみたいに、髪にキスして抱きしめもした。  でも、自分からは愛してるとは言わなかった。  恋人が隣で傷ついて泣くのを見て・・・満足した。  他の男を抱きながら恋人の股間に服の上から触れた。  恋人が勃起していたのを笑い、服の上からこすってやったらイったことを嘲笑った。  同時に苦しくて堪らなかった。泣かせたくないのに。大切にしたいのに。  なんでこうなるのか、わからなくて。  恋人が逃げようとすれば泣いて縋って逃がさない。  大事に抱いて本当に愛していることを教え込む。  優しく抱いた。  宝物のように愛して、つま先にまでキスをして。  愛してる。  お前だけだ、そう何度も囁いて。  宝物なのだ。   本当に。  哀れな人、と囁かれる。  二人で死ぬしかないのかな、そんな言葉に歓喜する。  恋人の見捨てられない優しい心に漬け込むことを恥ずかしいとは思わない。  だって愛している。  酷いことをする。  してしまう。  笑顔が好きなのに。  また酷いことをした。  嫌がる恋人を乱交に巻き込んだ。  他人の身体を嫌がるのが嬉しくて。  自分へと逃げて来て、他の人に触らせないでと叫ぶ姿が愛しくて。     目隠しして騙して、他の男と繋がらせた。  自分だと思ったから安心して感じる姿を喜んだ。  そして、目隠しをとり教えた。  他の男に抱かれていることを。  そして、絶望する姿に・・・絶望しながら射精する姿に感動すらした。  絶望してくれることに。    その目の前で他の男をイかせた。  見せつけながら。  恋人は傷ついて苦しんで・・・それは自分のせいで・・・愛しくてたまらなかった。  愛してるよ。  他の男の上に乗りながら、他の男の下にいる恋人に言った。  他の男の中も、恋人の視線の中なら、恋人の中と同じように愛しい。  その中を楽しんだ。   恋人の視線の中なら、他の男の身体も恋人と同じくらい愛しい。  恋人にするように舌を使って鳴かせてやった。  狂ってる。  恋人は叫んだ。  泣きながらもう受け入れてしまった快感に苦しみながら。  違う男にまたイかされる。  その姿を愛した。  狂ってる!!  恋人はまた叫んだ。  その通りだと思った  また心を殺した。   恋人の目から光が消えた。  また君がいなくなってしまった。  君をけしたいわけじゃないのに。  でも、抜け殻しか残らないとしても手放さない。  恋人がこの胸にナイフを突き立てた、でも、悲しみの涙をながしてくれている。  そうか。そうなのだ。  そうするしかなかったのか。  最初から。  ここしかなかったのか。  でも、今でさえ、この意識が消える瞬間までは・・・君を捕まえて離さない・・・もし、まだ指が動くなら、君を殺して離さない。  必死で指を伸ばす。  殺すために。  愛なんかじゃない。知ってる。でも・・・離さない。  最期まで。 END

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