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第2話 嫌悪

 嫌われたから愛した。  絶対にこちらを向かないから。  家の事情で金に困っていた同級生を金で買ったのは退屈しのぎだった。   言われるがままになったくせに、嫌悪を滲ますその目に夢中になった。  言うがままになるしかないくせに 。  服を脱げと言えば脱いだ。  キスも知らないその唇にまず咥えさせて、喉を犯して飲まさせた。  むせながら、それでも飲み干した。  何でも言いなりになりながら、その目は強く光っていて。  嫌悪に。      そんな目で見られたことがなかった。  熱く愛しているとつぶやきながら見つめられるより、その目の冷たさと強さに勃った。    たまらなかった  何でもさせた。  いやらしい言葉を言わせ、屈辱に震える身体を自分で開かせた。  自分で慣らさせ、挿れて下さいとお願いさせた。  屈辱を与えるためだけに。  それから、慣れない身体を弄んだ。  痛みよりも、心が苦しむように快楽を与えた。  それに感じる様を嘲笑った。  嫌がるくせに感じるのか?  こんなになって?  ほら、イった。    屈辱に泣かせることに興奮した。  もっとその目でみられたくて。   こんなに誰かに夢中になった夜は初めてだった  いつもならすぐに飽きてしまうのに、何度入ってもまた入りたくなった。  グズグズに崩れて、快楽に泣き叫ぶくせに・・・その目の奥の憎悪は消えない。  なんて目。  強い目。  美しい。  その目に見つめられるだけで、勃起して、また犯した。  終わりたくなかった。  自分の形になるまで、そこを犯し続けた。  自分の精液でそこを満たし続けた。  性欲以外で、快楽以外で、人を欲しいと思ったのは初めてだった。  家の事情につけ込んだ。  一晩だけで足りる訳が無かった。  自分のモノにした。   自分の人生に縛り付けた。  ある程度は自由にした。  心が折れてしまうことを恐れたから。   憎しみに疲れてしまうことを恐れた。  だってあの目は自分だけのもの。   それでも優しくしたい気分に負けてしまい、時に甘やかし、身体を溶かすように抱いてしまったけれど、あの目は変わることがなかった。  どんな女も、どんな男も溺れた優しさを、彼は気にも止めなかった。    ただ優しくあるだけの時間も。   奉仕するように労る時間も。  無意味だった。   何を買っても。  何をしても。  この腕の中で喘ぎ、泣いて、すすり泣きはしても、どんなにとけても、その目の嫌悪は消えることがない。  最初はそれでも、酷いことをしてみた。  あの目が変わらないように、時々は。  何を言われても彼は従う。    家族のために。  だから他人に抱かせてみたりした。  数人の男達を連れてきて、乱暴に犯させた。  それを見て笑った。  彼は黙って従い、男達に喘がされ、感じ、乱れ ・・・その目でこちらを見続けた。  ドロドロに汚され、自ら腰を振るほど快楽に溶かされながらも。  酷く痛めつけてみた。   快楽などない痛みにも、従順に耐え、見つめてきた。   でも、それでは何故かこちらが苦しいだけだった。  結局折れるのはこちらだった。  あの目に焼かれて抱かずにはいられなくなる。    男達を追い払い抱きしめて。  傷つけた傷を手当てして、抱きしめて。  だから優しくした出来る限り優しくした。  大丈夫。  どんなことをしても、何をしても、あの目は嫌悪で焼いてくる。  愛してると囁いても、ひざまずいても。  足を舐め、許しを請うても。  あの目はこちらを焼いて冷え切って、絶対に許さない。  愛してる。  心から言った。  その変わらない魂を。  愛してる。  その許さない魂を。    許されないことに、憎まれ続けることに歓喜する。    その強い意志に恋に落ちたから。   最初から届かぬものを愛したから。  全てを彼に捧げて、憎まれ続けることは幸せでしかない END

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