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第四章・6
「再起動スイッチは、舌の裏を二度押し……」
初めての時と同じように、潮は絵夢に口づけた。
舌先で、二回舌の裏をクリックする。
「絵夢……?」
彼の睫毛が、震えた気がした。
そして、ゆっくりと瞼を開いたのだ!
「絵夢……、絵夢ッ!」
潮は、絵夢をしっかりと抱きしめた。
もう、離さない。
二度と、壊したりするもんか!
「お兄ちゃんが心配してくれて、僕、嬉しい」
でも、と絵夢は眼をくりくりさせた。
「会社サボって早退しちゃ、ダメだよ。お仕事は、ちゃんとやらなきゃ!」
「は、はは。そうだな、全くだ」
ああ、時が巻き戻る。
潮の眼から、熱い涙が溢れた。
「絵夢、お家に帰ろうか」
「うん」
そして、絵夢に指輪をはめた。
ダイヤの煌めく、プラチナの指輪だ。
「わあ、きれい! ありがとう、お兄ちゃん!」
「気に入ったか?」
お家に帰ろう。
一緒に、帰ろう。
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