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第6話
「いっ……」
先ほどまで余裕を保っていただろう、洋は突然の刺される痛みに息をつめた。
痛みの先を見れば、注射器を太ももに京介が突き立てている。
中身を全部打ち終わると、空の注射器を捨て、自分は何かの錠剤を飲む。
細い注射針だからか、出血はしていないみたいだが。
京介は何も言わない。洋に言ったところで、通じないと分かったから。
「んっ、はは、はははっ」
狂ったように笑う洋に、京介は冷たい目を向けたまま小さくため息を吐く。
洋の乳首に手をかけ、グリッ、と痛みが出るぐらい抓る。
「いぅっ……んんっ」
痛みに顔を顰めるものの、次には優しく撫でられもどかしさに腰が揺れた。
優しく撫でられているもう片方を、京介が噛む。
どちらの刺激も、最初は何でもなかったというのにだんだんと腰が揺れるのを抑えきれなくなってくる。
ちゅっ、ちゅっ、と音が出るほど吸われ、噛まれ、舌で愛撫され、どんどんと敏感になっていくのを止められない。
「んっ、い、つまで……ひんっ!」
抓られるのと噛まれるのを同時にされ、腰が跳ねる。
はねた先が京介の体にあたり、勃起して先走りをダラダラ垂らしていたものが、ずりっと擦れた。
意識していなかった場所からの刺激、快楽に洋の体が無意識のうちに丸まろうとする。
が、それを京介の体が許さない。
体が跳ねるたびに京介の体に先端が擦れ、びくびくと体が跳ね、声が出る。
そんな悪循環だ。
「はっ」
そう、鼻で笑うぐらい洋の先走りが京介の衣服を汚していた。
乳首を弄っていた指で濡れた場所を触り、手を離せば伝う卑猥な糸。
指を広げても、その間に透明な糸がやはり伝う。
「淫乱だな」
乳首を弄られただけで乱れ、勃起し、先走り汁を垂れ流しているそれに、京介は冷たい目のまま言い放つ。
洋はそれでもゾクゾクと興奮しているようだ。
その指で、再び乳首へと手を滑らせる京介。
濡れたせいで、つるつると指が滑り、余計に刺激が分からなくて爪が引っかかったりするたびに体が跳ねるし、反対側は先ほどと同じように京介の口で愛撫されている。
ムズムズとした刺激が背筋を伝って、集まっているような気もするし、ここまで来れば京介の狙いも分かった。
分かったが、洋はそれを受け入れがたいこともまた頭の中で必死に抵抗する要因となっている。
京介が自分を見ているのは嬉しいが、それとこれとは別問題だ。
「んっ……はっ、ぁ……、ぁあっ」
声を抑えようと手を動かしても、がしゃがしゃと音を立てて拘束具に邪魔されるだけだ。
唇を噛もうとしても、もう遅い。
出た声を抑えようとしても、だんだん刺激を敏感に感じるようになって来ているため、抑えることができない。
はっ、はっ、と犬のように息を吐く。それを、先ほどから無表情に近かった京介が興味深そうに見ていた。
「んっ、んっ……ひぃぅう……なん、だよ?」
京介を睨むと同時に、ぼろっと右目から一筋涙がこぼれた。
その涙を、ぺろっ、と京介が舐める。
「しょっぱいな」
「あ、当たり前だろ……あっ、やっ」
ぐにぐにと弄って来るので、体をよじり、刺激から逃げようともがく。
刺激され続け、ヤバいくらい下半身に熱が溜まっていくのが分かる。
あっ、あっ、と切羽詰まった声でどうにか熱を逃がそうとするけれど、拘束された体ではそれも難しい。
「いい加減、イケ」
「ひぃっ、あっ、あぁああぁっ!!」
京介に口では触られていたなかった方の乳首を齧られ、引っ張られ、ばちんっ、と音がするんじゃないかと言うぐらい唐突に離された。
その痛みと衝撃に、股間は爆発していてびゅくびゅくと白濁を飛ばしている。
乳首だけで行くなんて信じられない、と言った顔で洋は放心しているが京介はその様子に満足そうにしていた。
ガタガタと体は通常の射精以上に震え、何が起こったのか、と言うように震えている。
「ぁっ、はっ……ぁっっ!?」
どくんっ、と洋の心臓が高鳴る。
それと同時に、はっはっ、と触られてもいないのに興奮してきた。
ぴんっ、と勃起し始めたそれを弾かれると、目を見開いて、まるで悲鳴のようにあえぐ。
「ひぃいいいっ!?」
「……ほぉ」
洋の反応は、京介の予想以上のようで、にやり、と彼は笑ったが、洋は状況がいまいち理解できてはいない。
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