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第一章・3

 テキストを閉じ、楓は大翔とともに勉強部屋の外に出た。 「大翔さん、先生、お疲れ様です」 「うん。難波(なんば)も来てよ。今から親父のトコに行くから」 「はい」  楓は、廊下でひたすら大翔の気配を守っていた、この男に会釈した。  彼は、難波 征生(なんば いくお)。  大翔のボディガードとして仕える、20代後半の男性だ。  細身だが、がっしりした体躯。  ひどく鋭い、目つき。   だが、時折見せる甘く優しいマスクは、人の心を和ませる。  そんな印象を、楓は征生に持っていた。 (難波さん、僕がいつも大翔くんにフェラしてることも、気づいてるよね。きっと)  そう思うと、顔から火が出る思いだ。  一体、何の先生だ、と思われているに違いない。  軽蔑されてるだろうな、と溜息をついた。

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