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第二章・10
でも、複数人に乱暴されかけている女性を、放ってはおけなかった。
今度は楓がそう語ると、征生はやんわりと微笑んだ。
「やはり先生は、素晴らしい方だ。保身より仁義を重んじていらっしゃる」
ああ、その笑顔。
楓は、ようやく体のこわばりが解けた。
すっかり温まった胸に、触れた。
(やっぱり、熱い……)
僕、なんか変だ。
難波さんと向き合うと、熱くなる。
まさか僕。
(難波さんのことが、好きなの?)
火照る身体と心が、何よりの答えだった。
「難波さん」
「はい」
「今夜は、泊って行ってくれませんか?」
思わず楓は、そう口走っていた。
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