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お店が混んできたので二人でまた来ることを約束しておいとました。
「築島さんどうだった」
「別に、あの人はいつもあんな感じだな」
僕の家に泊まるということはあらかじめ話していたから、そのまままっすぐ向かう。一応告白したけど、別に今日は下心なんてなかった。間宮は僕が彼の事を好きだということを意識してさえなさそうだ。だから、なにかあるなんてことあるはずないのに、どきどきしてしまう。
取り留めない話をしていたら家にすぐについた。
「何もないでしょ」
本当に何もないので、さっさと自分の部屋に案内した。
「兄の部屋、気になる?」
「いや?」
「親が、もう家、引き払うって話で、全部片づけてんの。だから見たくてもみせれるようなものないんだけどね。残念」
「べつに、そこまで、仲良い関係じゃないし、部屋行きたいなんて思ったことないから」
「そう」
真宮は本当に興味ないみたいだった。さっき散々築島さんにからかわれて疲れたのかすぐに座り込んでだらだらしてる。
「家、引き払うってお前の荷物は? 寮にひきあげんの?」
「狭くなっちゃうから、学生の間はトランクルーム借りてくれるって」
「たいへんだな」
「どうせ、高校出たら家も出るつもりだったから、かえってトランクにあずけれるなら楽かもしれない」
「強いな、お前は」
「そんなことないよ。兄が返ってくるまで、家を保てなかったし」
でもそれでもいいと今は思う。どうせ両親に期待してもしかたないんだから、僕がちゃんと待てばいい話だ。
「お前のせいじゃない」
「うん、ありがと」
間宮に手を引かれた。間宮に背を向けてそのまま前に座らされる。無駄に近い。
間宮が僕の頭に手を置く。撫でられた。暖かさがじんわりと響いた。手がとまったと思ったら違う感覚が頭に降る。ちゅっと音がした。
「えっっ、」
僕が驚いた声を上げるとそれはもう一回聞こえる。あたまの皮膚が敏感になる。
「頭に!ちゅーした」
「した」
振り返ると、けろりとした間宮は僕のほっぺたを撫でた。
「なに……」
ふっと間宮の顔が僕に近づいた。おどろきのあまり間宮の目を合わせたままでいると手で優雅に瞼を下ろされる。口に、口があたった。下唇に軽くすわれる。
「ん」
じっと見つめられた。自分の顔はきっと間宮にめろめろになって、真宮の瞳に映っているだろう。
「俺も、好きだ。美波のこと」
「えっ」
「好きだって」
そう言うと間宮は俺のベッドに座った。
処理できない俺のうでをとって間宮はひっぱる。間宮に上に倒れるとおもったら抱きかかえられて一緒にベッドに沈んだ。
近くで目が合う。間宮の瞳が俺を好きだと言っててる。嘘じゃない。
「ほんとに?」
「あぁ」
間宮の顔がちかづいてくるからおれは目を閉じる。唇の真ん中に一つ、端に一つ目を開けると、瞼に鼻に落とされる。
「うそ。僕男だよ」
「お前より、俺の方が全然男だわ」
「それはそうだけど」
間宮のたくましい腕が俺を抱き寄せた。
「もともと見た目はかわいいけど、すげぇかっこいいな。美波は」
「そんなことないよ」
「そうだよ。定規を扉の上に誇らしげにつけてた時、お前すっげぇ得意げで面白かったけど、そっからずっとかっこよかったよ」
ちょっとばかにされてるニュアンスを感じたけど、ほめられたので素直にお礼を言う、
「ありがとう」
「さっき、キスしたいって思った。だからした。すげえ抱きしめたいって、今、思ってる」
次のキスは深いもので、口の中に舌が入ってきた。ぬめっとした生きてる肉の感覚がする。肉欲ってこういうことだ。あたまの中がぐらりとゆれた、僕の男の部分が顔を出す。もっともっとこれがほしい。もっと深く交わりたい。
「できそうか?」
口を話した。唾液で唇が輝く。ギラギラした目が僕を見てる。
「僕は、前から……できるよ」
ひかえめに答えたけど、行ってることはなんてはしたないんだろう。あっさりと間宮の手が伸びてきた。
「こういうことも考えてたか?」
「聞かないで」
考えてた。僕は前からそういう気持ちで、この部屋につれてきたのもそんなことあるわけないって考えながらも夢見てた。
「間宮のこと好きなんだ」
上の服を脱がされる。弱っちい僕のからだ。
「あぁ」
間宮はその体を指でなぞる。
ちゅっと乳首を吸われた、それだけで、腰がわなないてる。してほしくてたまらなかった。
「間宮、」
「どうしてほしい?」
「なんでも、して」
「えろいな」
乳首をあまがみされながらズボンを脱がされる。パンツの上からぐっとひざで性器を押された。ゆるく立ってるそこはそれだけで甘い官能が走る。
「美波いつもかわいいパンツ履いてるなって思ってたんだよな」
「えっ、いつも見てたの?」
「告白されてからは、割と。こいつあんなこと言ってた割には朝、すげぇ、無防備に着替えてるなって」
確かに朝は、急いでるのも相まって、意識するのも変かなと、普通に着替えてたけど、見られていたなんて。これから着替えにくい。
「お前も、いつも俺の腹とか胸、見てんじゃん」
「気づいてたの?!」
「あんだけ見られてて気づかないわけないだろ。まじで獣だった」
「じゃあ着てよ」
「めんどい」
間宮は乳首を指でつねる
「いたい」
いたいっていうと得意げそうに笑う。
「いたいっていうほど、力強くねーわ。ここがはれてるからだろ? あ、ここも?」
いつの間にか片方の手は下腹に滑り込んでいたようでパンツの上から触られた。
「そんなにしたかった?」
かたちを確かめるように握られた。見ないでもわかるぐらいにふくれてる。
パンツをさっと脱がされて竿をうえから下に軽く握られながら動かされる。
「んん」
気持ちよくて声が出そうになるのを我慢した。
「いっぱいきもちいいっていってくれていいぞ? 親もせっかくいないんだからさ」
「そういうことじゃないっ、あっ、ちょっと」
話してる間に、お尻方に手が回る。
「なんかすべるもんほしいかも? みなみのですべってはいるけどな」
そこをゆるゆると撫でられて、じぶんでひくつくのがわかる。
「あっ、まって、んああ」
指が入ってくる。すごく変な感じがするけど、同時にまえもずっとさわられて、先なんかをくりくりとなでられるから、ぐらぐらときもちいいに錯覚しそうだ。
「べっどの、したに、その、」
「なに?」
「やっだから、っっ、ちょっと、手、とめて」
「なにかベッドの下にあんの?」
これはこいつわかってるだろ。それでも、言わないでいると、ゆびは進むことはなく、ほかの指がおしりをするするとなでる。
「みなみおしりすべすべだな、赤ちゃんみたい。ずっと、触ってられそう。まえも反応あって楽しいし」
そんなのたまったもんじゃないずっとこんなもどかしいきもちで、なんて。
「ばか~~! ベッドの下に、ローションとゴムあるから!」
「準備万端じやん、そんなに美波したかったのか?」
「ちがっ、ひろ兄の部屋にあって、親に片付けられる前に回収しとこうと思って」
「つかうかもしれないし?」
間宮はローションを手に垂らすとそれで、まえをしごいて見せた。ぬちゃりと粘膜につつまれていままでとちがう感じがする。
「こっちもいいけど」
そう言いながら後ろにもたらして指でくるくると口の部分にまとわせるように動かしてからなかにゆっくりと指を忍ばせた。
「意外といける?こっちもじぶんでした?」
二本目もいれてぐるぐると動かされる。たまに間宮と目が合うとかっこいいと思ってしまう。こんなかっこで恥ずかしいのに、だってされたかったから、求めてほしかったから。おれをさわりたいってそう思ってほしくて
「……した。間宮とえっちしたくて、お風呂で指入れたりとか、ローションもゴムも、俺が片付けなくても、どうせ業者入れるのに、使うかもしれないとおもってベッドの下に入れた」
「ほんとかわいいな」
間宮はいきなり上体を上げる、顔がちかづく。僕をちゃんと見てる。口づけて、口の中をふたりでむさぼった。
「あふ、ん、まみや、好き、すきい」
「おれも、好きだよ」
キスをしながらお尻の中をいじられる、指が増えてぐりぐりとなかを押されると変な感じで、でも、キスされたりなめられたりしてると違和感はなくなってふわふわとした。密着していた体がはなれる。肌が空気に触れるとなんだか寂しい。
間宮はそんな僕をみてふっと笑うと、指をようやく抜いて、そこもさみしくて、すごくはしたない。
「もう、なかいけそうだけど、いい?」
ぼーっとしてる僕の返事は聞かずに間宮はパンツを脱いだ。そこはすでにかんぜんに立ち上がっていて、自分で、ローションをかけている。
「さんざん、美波に、はずかしいとかいったのに、俺、こんなんだから恥ずかしーんだけど」
「嬉しい……よ」
「かわいい」
間宮はいれやすいように、僕の足を抱えてその足の間に入ってきて、縁にそれを当てる。ゆっくりと中に入ってくる。
「ん、はぁ、」
ずるずるとなかにはいってくる。いたみもなくて、指が入ってきたよりもずっとおっきいけど、充足感がある。
「あー、きもちいいわ」
ゆっくりと入っきたそれが、埋めきったところで間宮はつぶやく。その声がなんだかすごく耳膜にはいってきてじんじんと暖かい。
ばちっと目が合って、間宮は少しばつの悪い恥ずかしいような顔をした、それがかわいくて間宮の顔をひきよせて口づけた。そのまま大人の、つい先ほどまで知らなかったような舌を絡ませながらのキスをしてると、腰を動かされる。
「待って、あ!」
さっきまではあたたかさと埋ってるで充足感で満たされていたけど、なにかうごされるたびに脊髄がはるような気持ちよさがする。
「まって、やだ、っつ」
「男もうしろきもちいいってきいたことない?」
「あるけど、こんな、あっあっ」
こすられて声がひっきりなしに出てしまう。じれったい気持ちよさはこのままつづけてほしいし、もううけいれられない。
「は、いきそ」
真宮は汗をにじませながら自分の腰を動かしながら、おれのも握ってしごいた。
「あああっ、むり、いく」
「いけよ」
まえから精子をだして、なかがうねって間宮のをしめつけてるのを感じた。気持ちよさで下半身がじりじりと熱い。
間宮も奥にぐっとおしつけて吐精したみたいだった。
「ああー、きもちいわこれ。やばい」
ぬいてから髪を書き上げた間宮はおれを見た。いちだんとかっこいい、
「美波、なんかいま、すっげぇえろくみえるわ」
「すぐに順応しすぎじゃない?」
「だって、なんかすごかったから。あと、二回ぐらいお願いしたい」
ふたりでお互い笑いあって、抱きしめ合った。それから何回かあったのかはご想像にお任せだ。
二人で来た道を帰った。少し気恥しいようないつもと同じようなそんな感じで。
「来月も来よう。美波が嫌じゃなければさ。ちょうどいいホテルもあるし」
「さいてー」
兄に会うのはなにも、つらいことじゃなくて、楽しみだけど、僕のこの行為は兄にとって重荷じゃないのか、そんなことを今まで考えてた。思い出のない家に帰るのも無駄なことじゃないかってずっとぐるぐると考えてた。でも、これからはそんなに深く考えずこれる。ただ、兄に会うために、僕はもうまよわないから。そう思えるようになったから。
「間宮」
電車の中で、間宮の腕をひいて、かれの耳にこっそり耳打ちをする。
「大好き」
完
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