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第2話 鍵②

「友、おまえ、高校生だろ。ビールなんか飲むんじゃない」 「クリスマスイブなんだから、特別だよ」  友一がそう言って、飲みかけのビールに手を伸ばそうとすると、先に剣上の手がそれをさらいとった。 「ダメだ。おまえな、オレはおまえの担任なんだぞ。生徒の飲酒を黙って見ているわけにはいかないだろ」 「えー? だってあとでどっちみちシャンパン飲むんでしょ? ケーキと一緒に」  友一の飲みかけのビールを飲み干してしまうと、剣上は端整な顔に意地悪そうな笑みを浮かべた。 「まさか。生徒にアルコールを飲ませる教師がどこにいる。おまえが飲むのはシャンパンじゃなくて、シャンメリーだ」 「えー?」  シャンメリー、アルコールが入っていない炭酸飲料。あんなの子供の飲み物だ。  友一はプクッと頬を膨らませて拗ねた。  恋人同士で、イブを過ごすならアルコールは不可欠じゃないか。 「なんて顔してるんだ、友。まあ、おまえはふくれっ面もかわいいけどな」  剣上は笑いながら友一の頬をつついた。

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