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第3話 チョコレート
「クリスマスプレゼントは気に入ってもらえなかったのかな? 友」
「……すごくうれしい……! いつでも先生の部屋へ行ってもいいってことだよね? オレ」
合鍵のことを思うと、少し拗ねていた気持ちも一気に吹き飛び、口元がほころぶ。
「ああ。今更かもしれないけど。でもオレも、おまえが部屋で待っててくれると、すごくうれしいし」
ちょっぴり照れくさそうに言う剣上が、なんだかかわいく思えて、友一は彼に抱きついた。
「ねー、先生、あの鍵カバー買うのって、恥ずかしくなかった?」
「……恥ずかしかったよ。すごく」
「そうだろうねー。先生があのキャラクターの売り場でどんな顔してたのか、オレも見たかったなー」
「うるさいぞ、友」
「ふふっ。……あのね、先生、オレからもプレゼントがあるんだ」
友一はそう言うと、ソファの隅に隠しておいた小さな箱を差し出した。
「オレはまだ高校生だから、こんなものしかプレゼントできないけど……」
それは人気洋菓子店の限定二十個のチョコレートだった。
洋酒がたっぷり使ってあり、チョコレートもビターで、甘いものが苦手な人でもおいしく食べられる、大人のチョコレート。
手に入れるのはかなり難しく、友一は朝の五時から並んだ。
冬の早朝五時というのはまだ暗く、寒さで身が切れそうだったけれど、剣上が喜んでくれる顔を思いうかべながら、ひたすらがんばって手に入れたのだ。
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