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これは大切なもの(朝ちゅんカットシーン)

 ふたりで濃厚なキスをした。ちゅっと音をたててゆきちゃんの唇と舌と口腔を俺の舌で汚す。まだ現実をみれてない彼を俺がリードして味わった。 「シャワーしてくる」  息が上がるくらいキスをして、部屋を出た。そのとたん膝が崩れ落ちる。  ひさしぶりの生のゆきちゃんはかっこよかった。過去最高に。かっこいい。  おくればせながら心臓がどきどきしてる。あぁ、恋だ。愛だ。好きだ。やっとかなった両片想いの不毛な時間は終わったのだ。  さっさとシャワーにいって、処理をすます。  七回のフロアは一般人立ち入り禁止のはずで、人に見つからないように足早に戻った。  ゆきちゃんはベッドに寝転んでいる。俺が部屋に入るのを見て顔を背けた。かわいい。もうゆきちゃんのなにもかもがかわいく見える。でも俺は病気じゃない。  ベッドにダイブした。ゆきちゃんは二つのシングルベッドを並べて広く使ってるけど、一つのベッドだけに入ってギュッっと積み重なる。ぎゅうぎゅうと体を抱きしめた。ゆきちゃんは控えめに俺の背中に手を回す。俺が切ってから少し伸びた髪をなでるとぐっと頭が俺の首元によった。ひかえめにごろごろと甘えられる。 「かわいいなー」 おもわずこぼすとゆきちゃんににらまれた。きっと照れているのだ。  ひっくり返されて下に組み惹かれる。ゆきちゃんは真上で俺をじっと見てる。 「なぁ、もう一回言えよ」 「何を?」 そういったらきつい目でにらまれた。 「好き。大好き。愛してる」 「もう一回」 「すき。ゆきちゃんのことがすきでたまらない。ほしい。愛して」 ぐんっと顔が下りてきた。俺も迎えるために手を伸ばした。  キスをする。唇を当ててこすって、唇だけでくわえて、柔らかい感触を楽しんだ。そうやって遊んでたら唇をかまれたから、口を開けて、口の中にゆきちゃんを招く。舌を絡めた。水の音が絡まって、息が漏れる。上あごと歯茎をなめて、なめられる。 「ん、んん」 舌をそぐように絡めて口を離した。 「ゆきちゃんは、俺のことは?」  ゆきちゃんの俺の服の中に入る手が止まった。ゆきちゃんは俺をちらっと見て動かす手を再開させた。  抗議しようと手をのばした。その手にゆきちゃんはキスをした。 「これは大切なもの、だ」 ぐわりと自分の頭があつくなる。  ゆきちゃんは俺を見ずにどんどんと手を忍ばせて服を脱がせた。ゆきちゃんの手が俺の体温を触れたところから上げていく。  昔きいた歌の歌詞で、愛してるよりも好きのほうがきみらしいってあったけど、大切なものは、なんてゆきちゃんらしいんだろう。  大切なもの、愛も好きもわからなくて、大切なもの。もの扱いも彼らしい。 「ありがと」 ぎゅっと重力に逆らってゆきちゃんに抱き着いてから、俺もゆきちゃんの服を脱がした。  二人でベッドの上で裸になって、ゆきちゃんは上にいる。俺をひさしぶりに組み敷いたゆきちゃんは満足そうだ。  ギラギラと捕食者の目がこっちを向いている。自分の欲を満たしきろうと、骨の髄までしゃぶろうとする目だ。 「はぁ、」  息が漏れた。その視線だけで、おかされてる。  ゆきちゃんが探るように肌を触って、俺の漏れた息を聞いてから手は下半身にのびる。熱い体温が腰を撫でたと思うと、軽く痛みのようなかゆみなもののような感覚がした。腹筋のあたりをかんだようだ。  それをかわきりに、ゆきちゃんは俺の肌を食べる。  でも、昔みたいに、乱暴じゃなかった。食欲を満たすためじゃなくておいしく味わうようにたべてることも覚えたようだ。 「んん、あっ」 甘い声が自分から漏れた。 「ちょっと、こしょばい」  抗議するとゆきちゃんは俺をちらっと見るけど、続けて脇腹と、腰を食べた。飽きたら足を挙げられた。恥ずかしいけど、別にいい。彼になら何を見られてもいい。見せたい。全部見てほしい。  太ももを触ってキスマークを残された。自分の体が彼に所有化されていく。 「すきなように噛んでいいよ?」  ガジガジと甘噛みを繰り返すゆきちゃんにそう声をかけると、強くかみちぎるぐらいにかまれた。 「いった!」 思わず声を上げると、悪い顔で笑われた。  幸せだ。ベッドの上で、セックスがこんなに幸せなものだったなんて。 「すき。ゆきちゃん、すきだよ」  思わず気持ちがぽろぽろもれて恥ずかしい。ゆきちゃんはそんなおれの口元にキスしながら体制を変えた。足を大きく抱えあげられた。尻に手が当てられる。 「いれる?」 「いれる」  ゆきちゃんの腕をとった。ゆきちゃんを見ながら手をなめた。意図が分かったのか指を二本伸ばしてもらったので、唾液でぐちゅぐちゅとしゃぶった。 「んく、」 十分湿らせようと、ゆびに舌を絡める。 「そんなに、いれてほしいのか?」  無遠慮にゆきちゃんは俺の舌をぐっとおした。それにのどがなって苦しくなる。 「うん。自分でちょっとしたから、大丈夫だとは思うけど」  持っていたゆきちゃんの手を抜いた。  俺の唾液でぬれた指をゆきちゃんはおれの唇にあててこすって遊んだ。 「ちょ、はやく」  ふっとゆきちゃんの顔が降りてきてキスされた。舌と同時に、お尻の中に指もはいってきた。 「やあつ」  久しぶりで思わず声が出た。女子みたいな否定の言葉で、恥ずかしい。 「やだって?」 「言ってねえよ!」  一本の指が中をぐいぐいと抑える。すぐに二本目が入ってくる。ぐっとひらかれて中が伸びて、それを閉めようとお尻の出口にちからがはいる。 「ん、いいよ、俺は、だいじょうぶ」  自分でそもそもならしてきてるのだから、大丈夫だ。これは気分を高めるためのぎしきだ。むかえいれることはできる。 「ゆきちゃんは? 準備する?」  口をあけて、舌を出した。ゆきちゃんは手をふくと、俺の上から降りる。 「サービスいいな?」 「ゆきちゃんだけだよ」  彼がすわる足元までかがんでちんこの先をそろりとなめた。すこしだけたつ彼のそれがふるえる。  先っぽをたくさんの唾液で唇だけで吸い付いてからぱくりと銜え込んだ。全体を唇でしごいて裏筋を吸い付いく、フェラをしてると、マジでちんこなめるってなんだそれって思う一瞬もあるのだけど、この行為にとてつもなく興奮するのだから、相当参ってる。 「お前さ、」 ゆきちゃんは目をほそめて俺を見てる。気持ちよさそうだ。ふっと、もれた息がいろっぽい。 「なに?」 ちんこ加えながら返事した。しゃべると上あごにあたる。 「おいしいの? それ?」 「うん。おいしい」 バカっぽいなと思った。でもゆきちゃんがおれの頭をなでるから正解だったんだろう。  十分たちあがったので、口を離した。体を起こすと無理な体制だったので背中が痛い。  顔を上げるとゆきちゃんとばっちり目が合った。ゆきちゃんがおれをぐっとだきよせる。 でかいおとこからの抱擁は痛い。それにすごく熱かった。 「なに?」 「俺の事、好きなの?」 「えー、うん。好きだよ」 不安そうな犬のように不審げに丸い目が俺を見る。おれはその瞼にキスをする。 「うんと好き」 ゆきちゃんは俺をぎゅっと再び抱きしめたから寝かせた。  おれは自分から足を大きく広げて、性器を見せつける。たってるちんこがはらに当たってる。はしたなくてはずかしい。  おもむろにゆきちゃんがおれのをつかんでしごく。 「ん」 久しぶりの人からの刺激は強く体に快感もたらせた。 「あっ、きもちい」 ぐぐっとうらをこすられた、悩ましい快感が背筋を駆け上がった。 「あんましたら、出そう。いいよ、ゆきちゃん、いれて?」  自分の指を自分のしりに突っ込んだ。ぐっと広げてみる。ひろげると閉まるろうとする自分の穴があまりにも快感をむさぼる性器になってしまっているのを実感をする。 「いけるよ?」  こころもち上目遣いでゆきちゃんを見た。ゆきちゃんは俺をみてる。 「おまえ、そんなに、かわいかったっけ」 「はぁっ?」 足を持ちあげられて、穴に棒をあてがわれた。 「ん、俺はずっとかわいいけど」 「今のはキモイ」 ゆっくりと入ってくる。久しぶりに入れられたあっついものに、そこから、からだ全部が焼ける。 「はっっ、」 自分の荒い息とゆきちゃんの息が混ざってひびく。 「きもちーい? うごいていいよ」 ゆきちゃんの目がぎらっと光った。ぐっと奥までおされて、腰がわななく。 「んあ、はっ、あああ」 ぐりぐりと押されたかとおもうと、ごんごんと押された。乱暴な抜き差しが始まって、体が揺さぶられる、大きく体が揺さぶられるごとにあえぐ声がでた。 「ああ、きもちい、もっと」  むかしは、どうだったっけ、あえいでただろうか、もう忘れてしまっている。でもあまり、きもちよかった記憶はなかった。ひたすら熱かった記憶はあるけども。 「あっ、っ、・・ん!」 うかされるように、快感を追っていたら、思いっきり、肩をかまれた。 「なに! いったい、あっつ、ちょ!、っとお。んん、っっーー」  肩を何度もかまれて、爪で腰骨をひっかかれる。痛さに抗議しようと彼の顔をみるとあまりにも獰猛だった。好きな奴にはやさしくするんじゃないのかよっと、胸の中で精いっぱい抗議するけど、痛さと気持ちよさで、自分の中の感覚があふれてしまってどうにもならなかった。ただあえいで、ゆきちゃんの肉欲の中に埋もれて、もてあそばれて、うめく。 「いっく、」  限界がきて、それを訴えた。ゆきちゃんは俺なかのうちの壁を強く穿って、鋭角な快感が突き抜けて、吐精した。中が激しく痙攣して、ゆきちゃんは息を止めるとものをぬいて、俺のおなかにぶっかけた。   「両想いえっちもいいでしょ?」  汚れたものをぬぐって、ベッドに並んで寝る。  ゆきちゃんの口にキスをした。ゆきちゃんは俺の舌を迎えて、思いのほか情熱的なものになる。  いまだ火照った体で、熱の冷めないキスをした。 「なぁ、」 「なに?」 「もう、いかないでくれ」 「うん」 キスを続ける。こういうキスをむかしはしていなかった気がする。互いの唾液が解けて、のどにしたたる。 「いかないよ」 ゆきちゃんの頭を撫でて、もう一回キスをする。 「おれ、もうゆきちゃんのものだから」 小さくない身体のゆきちゃんを抱き寄せた。 「大切にする」 「ありがと」 ぎゅっと抱き返された。ふたりの体温はまったく一緒で温かった。 end

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