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第17章 第2話(※)side.賢哉

〜side.賢哉(けんや)〜 「いらっしゃい、環生(たまき)」 「こんばんは、お邪魔しまーす」 入浴を済ませて落ち着いた頃にやってきたパジャマ姿の環生。 まだ半乾きの髪、ほてった頬。 急いで家事と入浴を済ませてきた様子。 玄関先で挨拶がわりのキスをして、秀臣(ひでおみ)が待つリビングのソファーへ促す。 環生を2人の間に座らせると、嬉しそうに微笑んだ。 「会いたかったよ、環生」 「久しぶりだな、環生」 すぐに髪を撫でたり、抱き寄せたりしてそれぞれに環生を愛でる。 離れていた分を取り戻すかのように。 「いつもの賢哉さんと秀臣さんのにおい…」 おかえりなさい…と、瞳を潤ませながら秀臣にキスをねだる。 久しぶりの環生に照れた秀臣。 少しだけよそよそしいのが微笑ましい。 不器用ながらも環生の求めに応じて口づける。 「賢哉さんも…」 きゅっと抱きついてきて、自分から顔を寄せてくる。 触れるだけのキスをしていくうちに半開きになっていく可愛らしい唇。 時間をかけて丁寧に舌を絡めていくと、もじもじし始めた。 「…お土産をいただきに来たはずなのに…恥ずかしい…」 そう言いながらも離れようとしない環生は相変わらず可愛くて。 もう少しだけ…と、僕の手を握りながら秀臣の腕を引く。 欲しがりな環生のおねだりは、僕たち2人からの同時の口づけ。 「いいよ、舌出して…」 恥じらいながら差し出された赤くて小さな舌。 右側に舌を這わせながら、秀臣に合図を送ると、素直に左側を舐め始めた。 「ん…はぁ…」 すぐに漏れ始める環生の甘えた吐息。 耳でも感じられるよう、わざと音を立てて吸いつくとふるふるっと身を震わせた。 好きなように環生の胸や背中を撫でながら柔らかな舌を味わう。 キスに夢中になりすぎて溢れた唾液は秀臣が吸い取っていく。 「秀臣…」 環生の舌と秀臣の舌を同時に舐めると、驚いて硬直する秀臣。 おかまいなしに秀臣の舌を吸って、濃密なキスを繰り返すと、環生が小さな悲鳴をあげた。 「久しぶりに見たから刺激が強すぎて…」 ドキドキする…と、頬を染める。 環生は、僕たちの口づけを見るのが好きだ。 想いを交わした大人の口づけからしか得られないときめきがあると言って喜んでいる。 環生の興味津々な視線に気づいた秀臣は、困り顔をした。 「賢哉。環生に土産を渡すんだろう」 きっと話題を変えたのも照れ隠し。 耳がほんのり赤くて愛おしい。 「そうだったね。環生、続きは後でしようか」 「うん…お土産楽しみ」 察しのいい環生は切り替えも早い。 僕たちの手を握ったまま、無邪気に微笑んだ。

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