オレ達は雨の中で出会った 　雨の中でその男とは出会った。 　突然の雨に、人々は走り出し、屋根のあるところへ逃げていく。 　オレも走り出そうとして、ふと通りの向こうのその男に目がいった。 　男は雨を楽しむかのように、のんびりと歩いていた。 　まだ刺すような冷たい雨の中で。 　もう、冬だぞ、何考えている。 　そして、どんな男かと見つめて、目を奪われた。 　ひどく綺麗な男だったから。 　そして、オレも雨を気にしなくなった。 　男の姿が妙に心に引っかかって。 　何だ、これは、 　何だ？ 　ざわつく感情。 　ただ、わかったのはオレはあの男を追いかけなければいけないということだった。　 　 　だから追いかけて、捕まえて。 　捕まえたら、よけいに心がざわついて。 　綺麗な顔が、おどろくように見張った目が、オレの心をざらつかせて。 　オレはその感情が何なのか分からなかった。 　気がついたら、人が消えた通りの壁に男を押さえつけて、キスしていた。