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雨の中で2

 「男を抱いたことはないのか?」  濡れた服を脱ぎながら、男は言った。  「ない。オレの国では同性愛は死刑だ」  オレは答える。  なんでこうなったのか分からない。  オレは男と安宿にいた。  ヤるだけの部屋に。    そう、道端で男の唇をオレは貪っていた。  その唇を舌で割り、男の舌を絡め取った。  口の中を思うがまま、蹂躙し、その唾液をすすった。  男は最初こそ驚いて身体を強ばらせていたが、やがて、柔らかく身体を預けてきた。  オレは、止まらなくなった。  男のシャツのボタンに手が伸びた。  どうしようと具体的に考えていたわけではなく、ただ、男の肌に触れたかった。  そのオレの指は男の指で優しく止められた。  そして、キスの隙間に、オレの唇をそっと指で押さえられた。  「こんなところは嫌だな」  その声、その仕草にまた心がざわめいた。  オレは自分を抑えた。   「どこかへ行こう」  オレは呻くように言った。  男は柔らかに笑った。    雨が顔を濡らす。    雫が顎から垂れる。  オレはその顔から目が離せなかった。  綺麗だからじゃなくて。  これはこれは何なのだろう。  オレには分からなかった。  そして、オレは男とこの安宿にいる。  キスより先をどうしたらいいのか分からないオレに、男はオレが男を抱いたことがないことを察したのだ。  「外国だからできるアバンチュールってわけか」  男は笑い、服を全脱いだ。  オレも床に脱ぎ捨てる。  男の身体は細身だけれど、しなやかな筋肉のついた身体で、女のモノとは違った。  でも、オレのモノしっかり立ち上っていた。  オレも驚く。  男の身体見てこんなになったことはない。    男は男同士ではここを解して使うのだと、自分でその後ろの穴をほぐし始めた。  穴に指を入れ、吐息をつきながらそうする姿にオレは理性を失いかける。  男の指を引き抜き、オレは自分の指を夢中になって突き立てた。  「それでは、痛いだけ。ゆっくりまわして」  男が囁く。  オレ は言われるがままに動かす。  「いいところがあるからそこをこすって、そう、そのあたり」  オレの指か触れた場所で男の身体が電流が流れたように震えた。  ここか。  オレはそこをこすりあげた。  「上手・・・」  男は吐息をもらす。    ああ、なんだ。  オレはホッとした。   男の抱き方も、女の抱き方もそんなには変わらない。  それが分かればオレは大胆になった。  そこをかき回しながら、男の胸に唇を落とした。  白い肌に淡く色づくそこが、女の胸よりエロく見えた。  舐め、噛む。  男が吐息ではなく、声をあげたのが、オレにスイッチをいれた。   オレはそこにむしゃぶりついた。  穴に入れた指を増やす。  早く入れたい。  ここに入れたい。  覚えた場所をこすりたてながら解す。  男は声をあげた。  「本当に初めてなのか?」  男は喘ぎながら困惑したように呻く。      「男を抱いたことはない。あんたもここの人じゃないな、あんたの国では男が男を抱くのか?」  オレはこの男の乳首が気に入ってしまった。  ここを噛めば、舐めれば、指でいじれば、男の身体が波打ち、震えるのが楽しすぎて。  指を入れた穴が柔らかくなってきている。  入れたい。  ここはきっと、気持ちいい。  指を締め付けてくるから。  「一般的ではないけど、ね。ああ、いい、そこ、好き」  男が喘いだ。  男の喘ぎ声に、たまらなくなるなんて。  この身体をもっと知りたい。  どうすればもっと鳴くんだろう。  腹に男のモノが当たる、すっかり立ち上がっているのはオレと同じだ。  オレはそれに手を伸ばしたが、男は首を降った。  「私はそこだけではイけないんだ、後ろじゃなきゃ」  男はオレの首に腕をからめて、囁いた。   「もう、入れて。酷くしてもいいから」   淫らに囁かれ、オレは喉の奥が鳴る。  目の前が見えなくなる程の衝動に捕らわれる。   男の脚を肩に担ぎ、そこに押し当てて、押し入れた。  入った瞬間 、何もかもがどうでもよくなった。  ひたすら、その穴を味わった。   気持ちいい、  気持ちいい。  こんなの、初めてだ。   回した。  男が声をあげた場所を突く。   男の背がしなる、穴が締まる。  奥を突く。  男が声をあげる。  オレも呻き声をあげる。  余裕なんてなかった。  ただ、ただ、夢中に男を貪った。  男の白い肌を舐めあげ 、吸い上げ、オレの痕を残す。  男の淡い瞳を見ながら、口づけた。  男もキスの時、目を閉じなかった。  明るい色の柔らかな髪を何度も撫でた。   何もかもが良かった。  男の匂い、肌の感触。  男の中で射精した時は、思わず叫び声をあげたくらい良かった。  ほぼ同時にイった男の姿をただただ夢中でその目に焼き付けていた。  分からない。  これが何なのか分からない。  ただ、達した後も、男の身体から出ていきたいかとは思えなくて。  男を抱きしめているうちに、また再び固くなってきて。  オレは再び、男の中で動いた。

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