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危険な夜の過ごし方
オレはあの人と歩いた。
あの人が家まで送ると聞かなかったのだ。
一応、あの騒ぎを心配してくれていたのは本当らしい。
まぁ、どの程度の心配なのかわからないけれど。
あの人と歩く夜の道は不思議な気がした。
オレの恋は終わったし、この人と進む道などもうないのだけれども。
もし、もし、
この人とあの子が出会わなければ、オレとこの人が進む道はどんな道だったのだろう。
それは、おそらく、
あの人とあの子が陥るかもしれない地獄よりも、オレにはもっと深く怖くて、どこか甘い地獄だったような気がした。
オレの胸が痛むのは、もう、この人が欲しいからではない。
もう、誰かと地獄へでも一緒に歩きたいと思うことなど、ないのだろうな、そう思ったからだ。
地獄に落ちても良い恋がまたしたい。
ふと思った。
それはないと思いながら。
それはちょうど繁華街にある神社の前だった。
共に冥土へ参りましょう、
冥土へ向かう足取りも、
あなたとならば軽いでしょう、
不意に何か聞こえた気がした。
あの人に尋ねる。
「何か言いました?」
あの人は不思議そうな顔をした。
「いや?」
オレはそこでそんなことを思うべきではなかったのだということを知るのは随分先のことになる。
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