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悪意な夜の過ごし方3

 「お父さん許して、許しておくんなさい」  あちきは懇願する。  嫌、もう嫌、この人とだけはしたくない。  あちきは胸に差し込まれた手を払う。  子どものように膝にのせられ、着物の襟から手を差し込まれ、胸を弄られていたのだ。   そう、幼い頃、そうされてたように。  胸のそこを丹念に撫でさすられ、摘ままれ、押しつぶされて。  それは一番身体に馴染んだ手で、だからあちきはよすぎて、もう嫌だった。  快楽も闇も喘ぎ声も、支配も嫉妬も、自分にまとわりつくすべてが嫌になっていた。  どこかへ生きたい。  淫らな匂いのしない場所へ。  「おや、私の手を払うとはお前、随分じゃないか」  お父さんが低く耳元で言った。  その声が怖い。  あちきは自分がしてはいけないことをしたことに気付く。  「お父さん、堪忍、許して」  震えながら謝る。   「駄目だ。今日の夜見世は出なくていい」  お父さんが耳を噛みながら言った。   怖い。  歯止めのきかなくなったこの人は怖い。  両手を紐でくくられた。  目隠しをされた。  全裸に剥かれる。  全ての服を脱ぐのは遊女の恥なのに。  「お前は自分がなんなのかをまた忘れたようだね」   お父さんの声が怖い。  「許して、許して」  あちきは必死で叫んだ。  「ダメだ」  お父さんは後ろの穴に、香油を垂らしながら言った。  指がねじ込まれる。    ああ、  それだけであちきはよがり、尻を振ってしまう。   「おんなみたいに、ここをかえられて」  お父さんがそういいながら、深く指を突きいれた。  「もう見た目も女のそこみたいになっているじゃないか」  ゆっくりと回される。  嫌、よして、  あちきそう言うけど、尻は迎え入れるように蠢いてしまう。  もう慣れたそこは簡単にそれを受けいれる。     「すぐ、こんなになって。お前は遊女なんだよ」 お父さんは囁いた。  「気持ちいいだろう」  お父さんがあちきを鳴かせながら、言う。  お父さんのものが、あちきを深く犯している。  この人のモノがこする場所全てが、気持ちよさを教え込まれた場所で、あちきは叫び狂うしかない。    いい、そこ、いい  教えられたように、快楽に乗ってしまう。    「お前はこうされながら、胸を弄られるのが好きだったね」  一番感じる舌使いで、胸を舐められ、時折強く噛まれるその時が、どうしようもなくて。  好き、これ好き  あちきは鳴く  快楽に溺れるように教え込まれたあちきにはもうよがり狂うしかなくて。   声を殺すことすら教えられてはいないのだ。  「私だけだろう?お前をこんなにするのは」  お父さんがささやく。  「お父さ、ん、だ、け」  あちきは正直に答える。  「手練手管が全て飛んだお前は本当に可愛いねぇ」  お父さんはもう解ったように、あちきの体位を入れ替えて、後ろから突き上げた。  後ろからこの人に突かれるのが一番かんじるからだ。  深く、深く。  いい、いい、もっと  あちきはよだれをたらしながら叫ぶ。  尻をふり、回し、そこから絞りとろうと穴を締める。  不意にお父さんの動きが止まる。  やめないで、やめないで、  あちきは強請る。               尻をくねらせ、懇願する。        「ああ、先生、ありがとうございます。本はそこに置いておいて下さい。取り込み中でして申し訳ない」  お父さんが誰かに言った。    あちきは身体を固くする。  いくら遊女でもこんなところは見られたくはない。                 でも、先生って?        「あ、はい」  のんびりした声にあちきの身体は震えた。 お父さんが目隠しを外した。  困ったように本を抱えて 立っている先生がいた。     嫌!嫌!嫌!  あちきは叫んだ。  見られた。  見られてた。  お父さんが激しく突き上げる。   嫌ぁ!!  あちきは悲鳴をあげた。     「しつけ直しが必要でしてね」   お父さんはあの人に見せつけるように腰を回した。    はぁ、ああ、やめて、  悲鳴だった。  あちきは泣いた。  泣きじゃくった。     「色っぽいでしょう。この町一番の遊女ですよ、この子は」  あちきの顔を無理やり先生にむけた。  あの人が困った顔をしているのが見えた。    「人前でも、こんなになる。先生はこの子が【特別】なのはご存知でしたかね?」  お父さんはあちきを貫いたまま抱き起こし、あの人の前で股を開かせた。  はしたなくそそり立つあちきのモノを見せつけて。  あの人は、あちきを普通の【遊女】だと思っていただろうに。  あちきは泣く。  知られたくなかった。   【特別】を喜ぶ客達とはあの人は違ったから。     「単なる女などとはわけか違いましてね。この後ろの具合と言えば、女以上。一度入れたら忘れられなくなりますよ。失礼ですが、先生では買えませんがね」  お父さんはあちきの乳首を晒すように指で弄りながら言った。   「この通りここも、桜色。舐めれば甘い」  舌で舐めあげられた。    嫌ぁ  あちきは泣き叫ぶ。  でも揺れる尻は止められない  お父さんはあちきを罰してる。  あの人に恋するあちきを罰してる。  もう誰にも抱かれたくないあちきを罰してる。    「普通ならお見せしないんですがね、この子がお世話になっていますからね、見てやって下さい。この子がどう勤めに励むのかを」  体重を利用して突き上げ、揺すられる。  嫌だぁ    あちきはあの人の前でよがり狂った。  嫌だと思っているのに、教え込まれた身体が快楽を拾う。  どんな相手でも、快楽を拾えるように鍛えられた身体には、お父さんの的確な突き上げは堪らない。  あちきは泣きながら狂った。  あの人の綺麗な顔が見えた。  でも、やはりあの人の目は透明で。  あちきはそこだけが救いだった。   お父さんは先生の前で、あちきをいかせた。  あちきは泣きながら、白濁を放った。     大丈夫、あの人の目はそれでも、あちきを蔑んだりしてない。  透明な。  透明な。  闇。

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