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第四夜

週が替わり、強引に倫平に予約をさせられた❝セフレ❞の火曜日が訪れた―。 朝から中古自動車の買取査定の依頼が立て込んでいた眞央はいつもより遅い昼休憩となった。 ショップの裏にある喫煙所のベンチに腰を下ろすと、昼食代わりの菓子パンを頬張りながら、スマホのチャット型のコミュニケーションアプリに届いたメッセージを確認する。 休日中の倫平からいくつかのメッセージが届いていた。 『夕食はウチで用意しておくんで、仕事が終わったら、そのまま俺んちに来てください。 京和家特製のお好み焼きをごちそうします』 そのメッセージと共に、電気量販店で購入したばかりと思わせる大きなホットプレートの外箱を撮影した画像が貼り付けられている。 スマホの画面をスクロールすると、 『隠し玉は長芋と天かすやで。 揚げ玉ちゃうで~、天かすなんやねんで~』 今度は見るからに使い慣れていないへたくそな大阪弁を使ったメッセージと共にスーパで買い物してきたと思われる長芋と天かすを撮影した画像が一緒に貼り付けられている。 『可愛いヘラも買いましたよ~。 大阪では❝コテ❞って言うんやで~』 と、そのメッセージには、ナイロン製のピンクのヘラの撮影画像が貼られ、 『勿論、ビールも準備万端! めっちゃ期待しといてや~。 じゃあ、午後もお仕事頑張ってください』 と、大量の缶ビールを並べた撮影画像が添えられて、倫平からのメッセージの受信は終わっていた。 眞央は思わず笑みをこぼした。 自分が思い描ていた倫平のイメージとスマホに届いたメッセージの中の倫平の実像が随分と違っている印象を受けたからだ。 もっと面倒臭がりで、もっと冷めた男だと思っていた。 せっかくの休日にも関わらず、夕食の準備をして、こんなメッセージまでわざわざ送信してくるようなマメなことをする男だとは想像していなかったからだ。 メッセージを読んでいると、眞央の胸がキュッと締め付けられた。 眞央はただ早く倫平に会いたいと思った。 同じ職場の部下でノンケの男。 ただのセフレの関係。 頭では分かっているはずなのに、会いたいと溢れだす思いが理性というブレーキを壊していく。 眞央はメッセージを返した。 『楽しみにしてる。なるべく早く行く』 そう送信すると、朝から立て込んでいた仕事の疲れも吹っ飛び、午後からの仕事も頑張れそうな気がした。

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