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第7話

 瑞のお菓子作りは、なかなか止まらなかった。  クッキー、パウンドケーキ、ピーチパイ……。 「今日は、フルーツタルトを作ってきました」  お昼の中庭で、いつものように瑞と涼真はお菓子を広げた。 「今回は、何があったの?」  スウィーツを食べながら涼真が瑞の悩みを聞くことも、もはや恒例行事だ。 「今日、初めて一人で取引先へ行くので。それで緊張してて」 「ああ、午後からだったね」  瑞が入社してから、数か月が過ぎていた。  これまではお目付け役として涼真が一緒に外へ出ていたが、今日から一人立ちだ。 「大丈夫。白河くんは俺なんかより、ずっとしっかりしてるから」 「そんな……。不安で仕方がないんです」  見ると瑞の顔色は、あまり良くない。 (そういえば、お菓子を作るのは真夜中だったっけ)  眠れない、と起き出して作るのだ。  睡眠不足が祟っているに違いない。 「少し眠れば? 時間になったら起こしてやるから」 「いいんですか?」  いいよ、と笑顔で答えた涼真だったが、次の瞬間どきりとした。  瑞は、涼真の肩にもたれて目を閉じたのだ! 「あ……」  仮眠室で、と思っていた涼真に、これは不意打ちだ。 (ダメだろ、これは! 可愛すぎるだろ!)  しかし、安らかな瑞の寝顔を見ると、叩き起こすのも可哀想だ。

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