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第4話
あの人を見かけて驚く。
同じ学校だし、サークルの呑み会で知り合ったからここの学生とは知っていたけど、学部も学年も違うし、この講義にいるはずがないから。
なんで、と思った。
そして、見ただけで疼く身体に苦笑する。
昨日もその前もあの人の部屋で繋がっていたから仕方ない。
バイトも休みの休日はそういうことになってしまう。
部屋に入って、服を脱がされて。
何度も何度もうらがえされ、貫かれ、泣かされつづけて。
今も身体中が熱っぽい。
舐められ吸われて、噛まれて。
朝方も、遅刻するから、と言っているのに、腫れて可哀想だからと後ろの穴を舐められて・・・。
あの人の舌は、狂わせてしまう
理性を剥ぎ取ってしまう。
そして、狂った。
結局昼からの学校になってしまった。
あの人の家に着替えまで置くようになってしまっている。
初めての時にはさっさと追いだされたのだけど、今は長い長い時間してるから・・・。
ちょっと自分でも自重しようと思ってる。
覚えたてのセックスに溺れきっているのは分かってる。
でも、死ぬほど気持ちいいし、あの人はセックス以外の要求をしてこない
何も奪わない。
恥ずかしいことは散々させられるけど、それが気持ちよさに繋がるならそれはそれでいい。
何も奪わない。
それに安心する。
だからあの人を選んだ。
セックスしか興味がない人だと知っていたから。
あの人を巡っての争いもない。
あの人はセックスの相手以外はいらないから。
何も奪われない。
何も。
何も。
快楽だけくれて。
それがありがたかった。
誰にも何も奪われたくない。
そう思ってるから。
あの人は嫌いじゃない。
気持ちよいこと以外はしないし、何故か朝ご飯も作ってくれるし、最近は晩飯も作ってくれる。
セックスだけでもありがたいのに。
貰うだけなのは嫌だ。
奪う方にはなりたくないから。
だから、したければ乱交でもなんでもする、と言ってみた。
前にあの人と3Pはしたことがある、と言うか見てるだけだったけど、あの人が望むなら、他の人と絡んでみても良かった。
あの人が散々乱交しているのは聞いてて知ってたし。
でもそう言ったら、「そういうんじゃないんだ」と言われて何故か、その夜はいつも以上にしつこく泣かされた。
朝飯も晩飯もに気にするな、しないでくれ、なぜかそう言ってきてすごく必死だったので、まあ、ありがたく一緒に食べている。
セックス以外はほとんど話はしない。
でも、楽だ。
話さなくていいから。
良い付き合いだと思う。
身体をこんなに満たしてもらえるだけでもありがたいのに・・・。
一生誰かと抱き合うことなんてないと思っていた。
人に近づくのが怖いから。
でも、今は毎日のように抱き合える。
気持ちいいことをたくさんできる。
何かを奪われたりせずに。
そんなあの人がなぜか、一緒この教室にいた。
なんでだろ?
あの人は当たり前のようにとなりに座った。
「辛くないか」
聞かれて赤くなる。
2日間、そして朝。
責められ続けたことをおもいだしたからだ。
「大丈夫。でも、どうして?」
聞く。
何故ここにいるの?
あの人は困ったように笑って、何か言おうとして、結局下を向いて黙ってしまった。
意味がわからない。
講義が始まった。
今日はドキュメンタリーから学ぶということで、部屋の明かりが消され、前のスクリーンに映像が映し出されていく。
集中して見ていられなかった。
人の少ない教室の隅で、暗闇にこの人と並んでいるのは、居心地がわるい
最初にこの身体とつながったのは、部屋の明かりを消して映画をみていた時だったから余計に。
この身体とは・・・セックスしかしない。
教室にいる他のどんな身体ともちがって、この身体だけは・・・満たしてくれる身体だから。
朝に埋められた感覚が思い出されてしまう。
みっちりと埋められ、揺すられた。
この人だけがこの身体をおかしくする。
会わない間はセックスのことなんか忘れていられるのに、姿をみてしまうと駄目になる。
隣りにいるだけなのに息があらくなってしまった。
「大丈夫か」
心配気に囁かれて、思わず吐息がでた。
耳にあたる息だけで。
二人だけでいるみたいで、おかしくる。
腕をつかまえられて、身体が跳ねた。
その手の動きを愛撫と身体は勝手に理解して。
勃起していた。
「・・・・・・マジか」
あの人が呆れたような声で言ったから呆れられたかと思った。
教室で、講義中に、どうかしてるのは、まちがいない。
でも、低い笑い声。
そして、指を股間に感じた。。
ズボンの上から撫でられて、呻きかけ、必死で
手で口塞ぐ。
勃起しているそこをやわやわともまれた。
「声我慢してね」
耳をそっと噛まれてささやかれた。
呻き声をかみ殺す。
ボタンが外され、チャックが下ろされ、性器がつかみ出された。
いつものように音を立てることはなく、でも、いやらしくゆっくりとそこをあの人の指が扱いていく。
ドキュメンタリーの音声。
画面からの光。
あの人は真っ直ぐ画面をむいたままだ。
でも机の下の指はいやらしく動く。
必死で顔を隠し、動いてしまう身体を押さえ込もうとする。
でもいやらしくて、気持ちよくて、いやらしくてて・・・その手の中に放ってしまった。
イク時だけ、あの人が口を手で抑えてくれた。
気持ちよかった。
バックからタオルをとりだし、手を拭いて、あの人は何もなかったような顔をして、前を向く。
自分で性器をズボンの中にしまう。
いたたまれなかった。
でもこれでは・・・。
自分だけが気持ちよいのはフェアじゃない。
周りをみまわした。
誰もこちらをきにしちゃいないことがわかる。
さっと、机の下に潜り込んだ。
この教室の机は足元が隠れて見えなくなるタイプの、長机だ。
机の下に潜り込めば、後ろからじゃない限り誰にも見えないはずだ。
そのまま、あの人の足下に行く。
「おい」
あの人が机の下にいるのを気付いて、低い声で驚いたように言った。
黙ってあの人のそこをズボンの上から掴んだ。
やはり大きくなってる。
机の下から脚の間に入り込んだ。
あの人がしてくれたみたいに、チャックを下ろしてつかみだし、あの人とはちがって手ではなく、咥えた。
股間に顔をうずめた。
音を立てないやなようにする努力が必要だった。
でも、ねっとり舐めたし、喉の奥まで押し込んだ。
呻かないようにするのは大変だった。
でも、あの人は出したし、それを飲んだ。
あの人が必死で声をこらえている姿を、可愛いと思ってしまった。
ちゃんと綺麗に舐めて・・・ズボンにしまった。
そこから、何物なかったようにふたりでドキュメンタリーをみていたけれど、内容はなにも入っていなかった。
その後の講師の講義の内容も入ってない。
あの抑えるような行為は。
あんなのセックスとはいえないセックスがめちゃクチャ良かった。
このためにこの人は来たのかと思った。
良かった、とさえ思った。
でも、講義が終わった後、てっきりトイレでまた続きをやるのかと思っていたのに、そうではなかった。
あの人がトイレに連れ込んでやっているって話は聞いていたのに。
なぜかベンチに連れて行かれた。
人が通る、明るいベンチだ。
さすがにここてするのは、ハードルが高過ぎるとおもった。
焦った。
「違うんた」
あの人が小さい声で言った。
「気持ちよくなかったですか?」
心配になった。
「気持ち良かったよ!!この僕でも講義中に教室で手コキしたこともフェラされたことなかったよ!!だからスゴイ興奮したよ!!」
ヤケクソのように怒鳴られ、思わず口を塞いだ。
こんなところで何を。
「何の用だったんですか?」
話題を変えるために聞いてみる
プレイ目的かと思って乗ってしまったけど違うのかな。
「・・・セックスとは関係なく会いたかったんだ。教室ならそんな雰囲気にならないかな、っておもって。その後、お茶でもいかないかなって。でもやっちゃったけど」
なんだか悲しそうに云われた。
良く意味がわからなかった。
「セックスもうしたくないってことですか?」
かなりショックをうけながら聞く。
この人には相手が沢山いるか、こちらは一人だけなのだ死活問題だ。
「違う!!セックスはしたい。いっぱいしたい。お前がいい。でも、セックス無しでも・・・会いたい。話とかしたい。お前が知りたい」
あの人は困ったようにいう
「話とか、いります?」
そんなものなくてもセックスできるじゃないか。
心からそう思ったのに、そう言ったらあの人が泣いた。
「いる。話、したい。だめか」
そういいながら涙を流す。
ポロポロと子供みたいに。
人が沢山通るとこにあるベンチなんだけどな、と焦る。
でも、二人きりだとセックスになってしまうから、ここに座っているんだとわかる。
互いにセックスしてなし崩しにしてしまえるからこそ。
静かに泣かれて戸惑う。
本当に困った。
でも、話はダメだと言えば、この人が諦めることもわかった。
今まで通りセックスだけしてくれるだろう。
この人は奪わないのだ。
部屋にこちらから行ってもいいかと聞いて行くけど、この人に呼ばれたことはない。
でも。
なぁ。
わけわからなくなってため息をついたら、顔を覆って声を殺して泣きはじめた。
あれ、胸がいたくなる。
なんで?
ただ、話をしたいということをここまで望み、怖がっているこの人を見てると、何故か苦しい。
「何から話します?」
聞いてみた。
あの人が涙は止めずに顔をあげた。
その涙を袖で拭いてやる。
「ハンカチやタオルはないのか」
そう言われた。
「持ってませんよ、自分の使って下さい」
ため息をつく。
「さっき使ってお前のザーメンがついてる」
あの人は笑った。
まだ涙は止まらないけど。
話、ね。
何か話せるかもしれない。
セックスする以外でも、この人と出来ることが・・・あるのかもしれない。
END
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