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第3話
「気持ちい?」
優しく囁く。
座ったまま繋がり、向かいあいながら抱き合っている。
腰をゆっくり突き上げれば、相手も腰を揺らして答える。
すがりついてくる胸を吸ってやる。
「いいっ・・・いいっ」
ちゃんと教えた通りに泣きながら叫ぶ。
悪く、ない。
これも、いい。
でも、その原因はわかっている。
「もうちょっと待っててね。この子の方が先約だったから」
床に座って、真っ赤になりながら、でも、こちらから目を離そうとしない彼に言う。
他の子としてる最中に訪ねてきたこの子を部屋に入れた理由はなんだか面白そうだから、だった。
実際かなり面白い。
今その中に挿れている相手は何人もいるセフレ、つまり肉の一つで、もうそろそろ飽きてきたところだった。
でも、彼の目の前ですると、抱きあきたはずの身体が楽しく感じる。
人前で抱かれるのも、この身体には教え込んでいるから問題ない。
「奥どう?」
こじ開け入りながら言う。
「いいっ・・・いいっ・・・すきぃ」
涎をたれながし、肉が首をふりながら言う。
しっかりとしがみつきながら。
彼に向かって見せつけるように腰を揺らす。
そして、こちらをみている彼の目を見つめる。
餓えたような目をして、繋がっているところを凝視している。
息が荒い。
シャツをまくりあげ、その指は自分で自分の胸を弄ろうとしている。
その目を見つめる。
こちらの視線に気付き、恥ずかしそうに指を下ろしかけたが、唇を噛んでこちらの視線を受け止める。
今入っている身体を突き上げ揺する。
中の感触を味わいながら。
彼の目をみつめながら。
「いいっ、・・・いいっ・・・大好きぃ」
耳もとでそう鳴く声よりも、こちらをみつめながら胸を自分で弄りだす彼の姿が興奮させる。
自分で摘まんで、知り合わせ、ゆっくり回していく。
いつもそうしてあげるように。
もう片方の手のひらで撫でさすりながら。
彼がピクンとからだを震わせ、喉を反らした。
いつも、胸をそうしてあげたなら、そう感じるみたいに。
「おっきくなった・・・」
抱いてる肉が言う。
ああ、そう興奮してる。
たまらない気持ちをこの穴にぶつける。
彼の代わりに抱きしめて、その奥まで使う。
柔らかい熱い粘膜が性器にからみつく。
彼の中ではないけれど。
でも、彼の視線の中でなら、彼のと同じようなもの。
「あ・・・今日、すごっ・・・」
抱いてる肉の声はどうでもいい。
強く抱き締めて、とうとう性器まで扱きはじめた彼をみながら、大きく動く。
彼が喘いでいる。
いつもしてあげるみたいに、指先で性器の先の穴を苛めて、胸を弄って。
「可愛い」
そう囁くのはこの腕の中の肉にではない。
でも肉が、その言葉に締め付けるのはよかった。
肉が連続でイっているのがわかった。
その肉の奥で放つ。
いつもなら後が面倒くさいからゴムをつけるのに今日はしなかった。
この肉は自分しか知らないから、大丈夫。
自分専用の穴だから。
病気はないだろう。
「 」
肉が自分の名前を呼びながらイクのも、今日なら構わない。
彼に云われてると思えば嬉しい。
彼も自分で達しているのを確認する。
その手の中に腰を突き出して。
まるで自分がイカせたみたいなタイミングだった。
楽しい。
腕の中の肉は気絶したようだった。
引き抜く。
まだ硬さは失ってない。
力ない肉体をベッドの端に転がした。
「おいで」
優しくベッドの下にいる彼に声をかける。
彼は息を荒げていたが、汚れた手を自分のTシャツで拭いて、服を脱ぎ捨て、ベッドにあがってきた。
まだ彼もそこが硬いままなのがわかる。
向かいに彼が座る。
何の躊躇もなく脚を広げて自分でそこを広げて。
隣りで穴から精液を零して転がる身体を気にも止めないで。
「挿れて」
ほしがった。
それが良かった。
「最高」
心から言って、本気で笑った。
たのしすぎた。
でも、その穴には挿れなかった。
他の肉に挿れた性器を咥えさせた。
彼は躊躇なくそれを咥え、何故か心が少し冷えた。
意味がわからなかった。
自分でも。
「綺麗にしてね」
そう囁きながら。
髪を撫で、耳を指で愛撫する。
彼は両手でそこを掴んで必至でしゃぶる。
舐めて吸って、唇で扱く。
すっかりうまくなった。
「出すね」
そう優しく言ってから、後頭部を掴んで喉奥を犯す。
苦しげに呻く声も、逃げるように動く頭も楽しいだけ。
締まる喉奥を使って、突き上げそこに放った。
えづく声。
鼻水と涙。
苦しげな顔。
「可愛い」
うっとりと言った。
それでも、身体が痙攣している。
淫らに育てたこの身体は、喉を酷く犯しても感じるのだ。
喉を鳴らして飲んだ彼が、前から白濁を零しているのを見て笑う。
喉を犯されイったのだ。
「人に挿れてるのみて、欲しかった?」
聞く。
彼がなんども頷く。
もう挿れてもらうことしか考えてない。
「欲しい・・・欲しい・・・」
また掴まれ、しゃぶられた。
一刻も早く挿れて欲しいと。
馬鹿馬鹿しいことに、すぐにその気になってしまう。
他の肉相手ではこうならないのに。
でも、どこかでどこかで、苛立ちがある。
ただ欲しがられていることに苛立ちがある。
頭を押して引き抜いた。
もう硬くなっているけれど。
彼相手なら際限なく出来るけれど。
彼が欲しがって泣く。
玩具を取り上げられた子供みたいに。
そう、玩具。
玩具でしかないのだ彼には。
「後ろ解しておいて、そした挿れてあげる」
最近はろくに慣らしもしないで挿れているくせにそんなことを言う。
彼は痛くて苦しくても喜ぶのに。
彼も少し疑問に思ったみたいだったが、自分で、指を挿れて解して始める。
ベッドの端に転がした肉の上にのしかかった。
彼の目の前で、気絶したままのその肉を優しく愛撫していく。
胸にキスを落とし、彼が大好きな胸を弄ることをそこでする。
舌で舐めて、尖らせて吸って、噛んでやる。
見せつけるように。
気絶していた肉が喘ぐ。
目を覚ましたのだ。
彼が見てるから、存分に愛した。
彼が見てるから、優しく撫でた。
彼が見てるから、「愛してるよ」と囁いてみた。
肉がその言葉に身体を震わせたのを面白いと思った。
彼にしたいことの代わりを肉でする。
意識を取り戻していた肉は泣いて身体を震わせた。
こんな風に扱ってやったことはなかったな、とふと思ったがどうでもいい。
座った姿勢で背後から貫いた。
背後からなら彼を見ながら出来るから。
彼はじれてもう泣いている。
泣いてるのが嬉しかった。
だけど・・・泣いている理由が欲しがられているだけなのが・・・腹立たしくなってきた。
甘く優しく動かすのを止めた。
ベッドに肉をうつぶせにして、頭を押さえつけて、肉をただ犯す。
こんなことは誰にもしたことがなかった。
どんな肉相手でも、ただ、気持ちよくなるためだけにセックスをしてきたからだ。
これはセックスじゃなんかじゃない。
ただ苛立ちをぶつけただけだ、彼への苛立ちを。
悲鳴を上げて、肉が泣いたが気にしなかった。
乱暴に犯した。
でも、イカせた。
でも気絶するほどイカしてあげたから・・・文句はないはずだ。
引き抜いて、また気絶した肉をベッドの下へ下ろして、彼を引き寄せた。
彼の顔にやっと挿れてもらえる歓喜しかないことに、胸が何故か痛んだ。
今みたことに何も心が動いていないことに。
肉にしたみたいに、頭を押さえつけて犯そうかと思った。
だけど・・・そんなこと出来なかった。
憎しみだけで触れることが・・・この身体には出来なかった。
したくなるかもしれないが、それは腹立ちからじゃない。
絶対。
脚を押し広げて、正常位で繋がり合う。
顔を髪をなでながら、その顔をみつめながらゆっくり挿っていく。
身をよじり、挿れられるだけで感じる姿が可愛い。
何故か胸が痛くなって、その意味がわからない。
「どうして欲しい?」
こんなこと、他の誰にも言わない。
「めちゃくちゃにして,・・・奥まで突いて欲しい・・・いっぱい汚して欲しい・・・」
自分以上にセックスに狂った彼の、欲望に忠実な言葉に目を細める。
してやる。
激しく突いて、奥を貫き、何度も意識を飛ばしながら貪ってやる。
いいっ
すきぃ
グボグボしてぇ
出してぇ
イク
イク
かれが喚く淫らな言葉に笑う。
でも、これは違う。
これは違う。
彼の望むままに使われてやっている。
自分の快楽よりも、それが大切になっている。
「しがみついて」
囁けば、その腕はしがみついてくれる。
もっと気持ちよくなれるかと。
それでもそれが嬉しい。
「僕が好き?」
聞いてみる。
好き。
好きぃ
気持ちいいから好きぃ
この身体だけか好きだと知る。
「愛してるよ」
そう囁いても、その言葉には身体が反応しないことに何故か胸がいたむ
何でそんなことを言ったのかわからなかったけれど。
でもしがみついてくれている。
すがられている。
欲しがられている。
だからこの中は自分のためだけの場所のよう。
「他の誰かとするのは許さない」
そう言った。
動くのを止まって彼を焦らしながら。
彼は焦らされ、自分で動こうとするのを身体を抱き締めて押さえ込む。
「しない・・・他の誰としない・・・」
そう言わせて、言わせたことに満足している自分に気付く。
「もう、逃がしてあげない」
そう耳を噛みながら囁くと、彼が欲しがるままに動いていく。
可愛い
可愛い
それはわかる。
だから。
どうすればいいのかわからない
END
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